Not doing but being

東京都大田区で開業している訪問診療医のブログ。主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

一般の方向け

認知症介護を取り巻く感情

認知症のケアで最もやってはいけないことのひとつは、 御本人の記憶違いや出来なかったことに対して厳しく 注意したり叱責することだと思います。 もちろん一生懸命介護をしている家族を責める意図は ありませんし、仕方のないこともあると思います。 ただ、…

BZ系薬中止の議論の前に

2月2日の、AERAの記事です。dot.asahi.com高齢者への睡眠薬、安定剤の処方が危険なことは正しいです。 転倒⇒大事な骨を折ってしまうことで取り返しのつかない ことになるかもしれません。きちんと覚醒していない状態で 食事を摂れば誤嚥のリスクも高くなるで…

救急搬送は訪問診療の「失敗」か

今日は、こんなタイトルにしてみましたが、訪問診療医の 多くは特に看取りを意識して訪問している患者さんの場合、 患者さんが救急搬送になると自分の訪問が「失敗してしまった」 と感じる医師が、あるいは看護師が、割合に多くいるようです。 講演や勉強会…

酸素投与は緩和ケアにつながるか

medical.nikkeibp.co.jp本日17日の、日経メディカルの記事です。何か新しい知見でも あるのかと期待してしまいましたが、特に目新しい内容では ありませんでした。上記は会員登録しないと見れませんし、 私の以前書いた記事が我ながらよくまとまっていますの…

言えない医者、聞けない患者

Aさんは、あるかなり進行したがんの患者さんです。 一時期抗癌剤が効いて安定した時間を過ごせていましたが 治療に効果がなくなり、そんな中がんが原因と考えられる 腸閉塞で入院となりました。運よくイレウス管が抜けて 退院出来ましたが、腹水は溜まり食…

施設系訪問診療の難しさ

昨日、「施設系訪問診療のピットフォール」という勉強会 に参加させて頂きました。その中でとても共感したことは、 施設の「担当者」、これは主に看護師さんですが時に 施設長さん等も含みますが、要するに「本人」と「家族」 以外の担当者が介在する難しさ…

ACPのポスターに思うこと

厚生省の発表した、ACP普及のためのポスターに批判が 集まり、自治体へのポスターの発想やPR動画の公開を 中止にしたという記事が出ていました。www.asahi.comこのポスターは厚生省が吉本興行へ作成を依頼していた ものらしく、対象は「ACPは他人事」と思っ…

レスキュー依存?

がんの突発痛に使用するレスキュー製剤。オプソ、 オキノーム、ナルラピド等ありますが、レスキューの 使用が1日3回を越えるような場合にはベースライン のオピオイド増量を検討する(あるいは異なる 痛み止めを追加する等)ことが多いと思います。ただ、時…

「レスキュー」の適正使用について

ある患者さんの、レスキューで使うオキノームの 使用状況が不適切だったので確認したところ、 誰がどこで説明したのか分からないのですが、 御家族は5分経ったら再度使用して良い、と理解 されていたことが分かりました。オキノームはオピオイドを使用してい…

居場所

CDブック 発達障害のピアニストからの手紙 どうして、まわりとうまくいかないの?作者: 野田あすか,野田福徳・恭子出版社/メーカー: アスコム発売日: 2015/05/22メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る私は普段殆どテレビを観ないのです…

皮下輸液

在宅でお看取りとなる、多くの方に私はこの皮下輸液という 方法をとります。人は最期のときに近付くと、次第に柔らかい 食べ物しか受け付けなくなり、やがて水分を摂ることも難しく まります。水分なしで人間が生きることが出来るのは多くの 場合数日から長…

平穏死は良いが誰にでもベストだと言えるだろうか

Dr.和こと長尾和宏先生が、また鎮静について書いておられました。blog.drnagao.com面識はないですが非常に熱心な良い先生だと思います。 文才もおありなので、在宅医療や平穏死について数多くの本 を書かれ、啓蒙活動にも力を入れておられます。 賛同出来る…

医療における「7つの習慣」

皆さんは、「7つの習慣」を御存知ですか?完訳 7つの習慣 人格主義の回復作者: スティーブン・R・コヴィー,フランクリン・コヴィー・ジャパン出版社/メーカー: キングベアー出版発売日: 2013/08/30メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (9件) を見る…

人生会議

『死ぬときぐらい好きにさせてよ』 これは樹木希林さんの『120の遺言』のサブタイトルです。樹木希林 120の遺言 ~死ぬときぐらい好きにさせてよ (上製本)作者: 樹木希林出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2019/01/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見…

やはり名称を変えた方が良いのかもしれない

やはり名称を変えた方が良いのかもしれない…「緩和ケア」のこと です。kotaro-kanwa.hateblo.jpこちらにも書いたのですが、我が国ではまず「ターミナルケア」 という言葉が使われるようになりました。がん終末期の苦痛を 軽減させるケアを指しますが、後に苦…

『在宅がん医療総合診療料』の課題(2)

昨日の続きです。昨日の記事はこちら。kotaro-kanwa.hateblo.jp『在宅がん医療総合診療料』は在宅で療養されている末期がんの 患者さんに行われる在宅医療のひとつのかたちで、「医師と 看護師合わせて週4回以上」の訪問を条件にやや高額の医療費が クリニッ…

鎮静で苦痛はとれているのか

終末期に鎮静を行っていても患者さんは苦しそうだという話 を聞くことがあります。痛い、つらいのに声が出せない、と いった御自身の経験などから「苦しいのに声をあげられない のでは…」と心配する声も聞きます。基本的には、鎮静を開始するよりは楽になっ…

緩和ケア医の燃え尽き

6月24日の、日経メディカルの記事から。medical.nikkeibp.co.jp緩和ケアに携わる若手医師の69%に燃え尽き、30%に心理的 苦痛、というタイトルです。今回の、第24回日本緩和医療学会 学術大会でも発表された内容でした。緩和ケア医療に携わる 229人にMBI(M…

ホスピスはもう、「終の棲家」ではありません

少し前になりますが、私が問題に感じていたことを西智弘先生が記事 にして下さいました。皆さんの理解とは別に、ホスピスは徐々に 「最期まで過ごす場所」ではなくなって来ています。背景には診療 報酬の変更が大きく関係しています。記事の中でとても詳しく…

beingが苦痛な時は

新城拓也先生のブログ記事から。drpolan.cocolog-nifty.com新城先生は不器用なほどストイックで真面目に緩和ケア に向き合っている先生、と私は勝手に思っています。お会い したことがないので、あくまでブログの記事などからの想像 ですが。私も同じ道を歩…

ACPの診療報酬点数化

エムスリーに、ACP(アドバンスケアプランニング)の普及には 診療報酬化が必要だ、という提案が、全日本病院協会の総会で出た ようですが…正直「またか」という想いで私は大反対です。ACPについて、最近私はこんな記事を書きましたが、 kotaro-kanwa.hatebl…

これからの訪問診療制度に望むこと

CBnewsで、『「医師の高齢化」は在宅医療のブレーキに?』という タイトルを見掛けました。有料記事(月4600円!)なので読めません でしたが、2015~2017年は在宅訪問診療料のレセプト数はそれまでの 増加から横ばいに転じているとのこと。それはそうでしょ…

「患者の自己決定」の難しさ

40代の女性が、人工透析を拒否した結果亡くなった、という 話が話題になっています。要点をまとめると、1.透析を止めると2週間くらいで亡くなるという話を聞いたが この時点では強い意思で拒否。同意書にもサインしている。 2.症状が苦しくなり、夫には透析…

「緩和ケア」が敬遠される理由

当該記事のコメントを見ると「緩和ケアを選ばなくてよかった って言える人生を過ごしてほしい」「緩和ケアは本当に必要 最低限な処置しかしません。治療や心電図をつけたりは一切 しません。家族にとっても本当につらい病棟です」 等とあり、悲しい(個人の…

ACPは延命中止を決めることですか?

本日の、新城拓也先生のツイートの紹介から。 最近あちこちで見かけるアドバンスケアプラニングの弊害は 本当にひどくて、患者の治療を受ける権利を著しく奪って いると思う。延命治療をする・しないも 医療者の側の業務的な連絡事項になっている。 私も普段…

鎮静と安楽死

ここ最近、以前と比べて安楽死の議論がさかんになって来た ように思います。写真家幡野広志さんのブログやTwitterの 影響も少なからずあるのではないかと思います。 緩和ケアには、「鎮静」という治療が以前からありました。 患者さんの苦痛を取り除くために…

『在宅無限大』

在宅無限大: 訪問看護師がみた生と死 (シリーズ ケアをひらく)作者: 村上靖彦出版社/メーカー: 医学書院発売日: 2018/12/25メディア: 単行本この商品を含むブログを見る年末年始に読んだ本のひとつでしたが、 なかなか興味深い内容でした。 著者の村上靖彦さ…

幸せの最大公約数

この「幸せの最大公倍数」という言葉、本日お話する 内容からは大袈裟かもしれませんが、Twitterで褒め られたので、気を良くして記事のタイトルにして みました(笑)。私は訪問診療を始める前からひとつ、 常に意識していることがあります。それは、誰かの…

『今日から第二の患者さん』

最近登録したnoteを見ていて青鹿さんの記事が目にとまり ました。note.muこれ、なんですが。私は医師になってこの方、ずっと疑問視、 問題視していたテーマだったので、漫画もすぐに購入させて 頂きました。「第二の患者さん」は、病気の患者さんの御家族の …

医師の信念と患者の気持ち

とても興味深い対談が連載中です。www.kango-roo.com少し前に御紹介した幡野広志さん(2017年に多発性骨髄腫を 発症。余命宣告を受けているフリーカメラマン)と、市立 井田病院の西先生の対談です。いきなり最初から幡野さんの するどい直球で始まります。 …