Not doing but being

東京都大田区で開業している訪問診療医のブログ。主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

居場所

CDブック 発達障害のピアニストからの手紙 どうして、まわりとうまくいかないの?

CDブック 発達障害のピアニストからの手紙 どうして、まわりとうまくいかないの?

私は普段殆どテレビを観ないのですが、たまたまついていた
テレビで「金スマ」が放送されており、野田あすかさんの
特集でした。発達障害の野田さんは(野田さんがお持ちの
障害は発達障害だけではないのですが)周囲と分かりあう
ことが出来ず、否定され続け、非常に苦しんで来られた方
でした。この本、『発達障害のピアニストからの手紙』は
2015年に出版されたものですが、
『どうして、まわりとうまくいかないの?』
というサブタイトルが付いており、私事ですが学校の
クラスに居場所がなく不登校気味の娘の辛さと重なり、
読んでみたいとすぐに本を購入しました。

最近とても頻繁に耳にするようになった「発達障害」。
アスペルガー障害、自閉症スペクトラム障害など、
厳密には言葉の定義は異なりますが大まかには同じ
苦しみを持つ人々を指す言葉です。
※ここでは便宜上発達障害で統一させて下さい。
「場の空気が読めない」
「相手の感情が理解出来ない」
「言われた内容を言葉通りに受け取ってしまう」
「興味の範囲が狭く、ひとつの物事に集中し過ぎる」
その他色々な特徴が挙げられています。
これら多かれ少なかれ誰にでもありそうな特徴ですが、
相手を傷つけ本人も苦しむようになるとこのような
病名が付き、治療やサポートの対象となります。
残念ながら本当の意味の障害の苦しさを知ろうとする
人は少なく、むしろ勝手でワガママ、空気が読めない
人を「アスペ」等と呼び差別的に扱われることが多い
ように思います。確かに発達障害の方だけでなく周囲も
傷付いたり嫌な想いをする人も少なくないのでなかなか
難しい、ただ理解を促すだけでなく周囲のサポートも
同時に考えていかないとなかなか解決に向かわない
ようにも思います。

不登校についての本もよく読みます。不登校のお子さん
の中に発達障害のお子さんも一定数含まれていますが、
もちろんそうでない子も多いと思います。不登校
本を読んで感じることは、不登校の切っ掛けや背景は
様々でも、共通することは「学校に彼らの居場所がない」
という点ではないかと思います。
ユーチューバーの「ゆたぼん」君はいじめや仲間外れでは
なく自分の意思で不登校になっていると聞きましたが、
学校や友人との交わりが楽しければ、子供は止めてでも
学校に行こうとすると思うのです。

居場所とは何でしょうか。一言で言えば孤独を感じなくて
良い場所。安心しくつろげる、ここに居たいと思える場所。
そこにいれば頑張れる場所。
野田あすかさんが音楽を通して感じることの出来た、
「あなたはあなたのままでいい」
というメッセージを感じることの出来る場所があれば。
人は多くの困難を乗り越えることが出来るのかもしれません。
次回は居場所ということについて医療の場で考えてみよう
と思います。