Not doing but being

東京都大田区で開業している訪問診療医のブログ。主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

認知症~家族介護の難しさ

私は今グループホームや老人ホームへの訪問診療は 行っておらず、訪問しているのは全て患者さんの自宅 です。独居の方も多いですが、大半は御家族が同居し 介護されています。つくづく思うのは家族介護は家族ならではの難しさを 持っており、しばしば非常に…

『100点中10点』に思う

6月24日のm3(エムスリー)に、めぐみ在宅クリニック院長、 小澤竹俊先生のインタビューが載っていました。ホスピスを 経験し、現在は訪問診療医として多くの患者さんと関わり、 たくさんの方を看取って来られた先生です。診療体制に ついてのお話のあと、こ…

死に目に会う

小林 麻央さんの旅立ちがニュースになっていました。 私は芸能界に疎いのですが御夫婦の姿をネットで度々 拝見し、子を持つ親としても穏やかで優しい時間が 過ごせることを願わずにはいられませんでした。 海老蔵さんは麻央さんが亡くなる瞬間に 立ち会えた…

点滴に代わるもの

初めにお断りしますが、本日のエントリーはかなり 主観が入ります。終末期の医療に対する、私の個人的 な考えと御承知の上、お読み頂ければと思っています。ここ数日、末期がんの患者さんの看取り前の体調変化と 輸液についてお話をして来ました。正確な予測…

終末期に点滴をしないで苦しくないのか

少し前の記事ですが、yomiDr.にこんな記事がありました。yomidr.yomiuri.co.jpタイトルを読んで、多くの医療者はキョトンとするかも しれません。点滴をしないと苦しむ?…誰が?家族…?と いうのが私の最初の反応でした。しかし、医療従事者ではない、看取っ…

がん終末期の輸液について

昨日は、残された時間のがん患者さんに現れる身体的 な変化について簡単にお話しました。患者さんの食事 や移動能力、眠る時間等がどれくらいの速度で変化して いるか。また時にはがんがCT等でどれくらいの速さで 大きくなっているか、採血の結果はどうか…

がん終末期の症状について

がんも種類によって経過が違いますが、多くの患者さんで 当てはまることは、最後の2~3か月からの病状の変化は とても速いということです。分かりやすい変化としては、・食事が極端に少なくなる。 ・移動が大変になる。 ・眠る時間が増える。等の症状の変化…

終末期の在宅酸素使用は保険適応外

先週末、私がTwitterで取り上げた話題です。 多くの方に知って頂いた方が良い内容なのでブログでも お話させて頂こうと思います。まず、6月15日の記事にも書きましたが、終末期医療は 患者さんの苦痛を取り除くために行う医療には保険適応 外のものが多く、…

在宅緩和医療、保険適応外の壁

2017年6月7日の、薬事日報の記事です。 とても大きな問題だと思うので紹介させて頂きます。www.qlifepro.com緩和ケア領域の薬剤は保険適応外処方が多く、病院から 在宅へのスムーズな以降に支障を来たす例があるという内容。 長野県の医師を対象としたアンケ…

BPSDに対する抗精神病薬の使用と中止(3)

今回は、BPSDに使用した抗精神病薬の減量と中止について の話をしたいと思います。こちらのメタアナリシスを参考 にさせて頂きます。www.ncbi.nlm.nih.gov上記はシステマティックレビューを含む9つの研究を分析 しています。どれもRCTであり、プラセボとの比…

BPSDに対する抗精神病薬の使用と中止(2)

本日は抗精神病薬の中止に関する話題にする予定でしたが、 その前に薬の効果判定についてもお話したいと思います。 治療の目的を考えると介護者の主観で「効いた」とか 「効かなかった」でも良いと思うのですが、ある薬剤が 患者さんの症状のどの部分に効い…

BPSDに対する抗精神病薬の使用と中止(1)

認知症患者さんの暴言・暴力・介護抵抗・徘徊等周辺症状 と言いますが、周辺症状をBehavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの頭文字をとってBPSDと呼びます。 介護する側にとってしばしば大きな悩みをもたらし、 介護の継続が困難となる主たる原…

本当は月1回でも訪問診療が可能な件

昨日、訪問診療についての基本的な説明をさせて頂き ました。その中で、訪問診療は原則『月2回以上』と 書きましたが、実は平成28年4月より月1回の訪問診療 が可能になっています。月1回でも、24時間365日の、 従来の訪問診療のサービスが利用出来るというこ…

訪問診療の基本+α

今日は訪問診療を考えている、一般の方向けの記事です。今のカタチの訪問診療の仕組みが出来上がったのは 2006年4月からです。訪問診療は文字通り、通院が 困難な患者さんに対し、医師が患者さん宅を訪問し 診察することを指しますが、保険が使える(つまり …

タペンタが使いにくい理由

平成26年8月18日に発売されたタペンタドール、商品名 「タペンタ」ですが、オピオイドのμ受容体を刺激する 作用と、ノルアドレナリン再取り込み阻害を合わせ持つ 薬剤です。オピオイド作用+SNRIと言えば分かりやすい かもしれません。オピオイド作用+下降…

あとどれくらい生きられますか?

日経メディカルに昨日、西先生の『「あとどれくらい生きられ ますか」への答え方』という記事が出ていました。http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/nishi/201706/551414.html実は私は、患者さんから直接「あとどれくらい生きられるか」 と質…