BPSDに対する抗精神病薬の使用と中止(2)
本日は抗精神病薬の中止に関する話題にする予定でしたが、
その前に薬の効果判定についてもお話したいと思います。
治療の目的を考えると介護者の主観で「効いた」とか
「効かなかった」でも良いと思うのですが、ある薬剤が
患者さんの症状のどの部分に効いてどの症状には効かな
かったのか、また後で効果を比較する時のために評価しやすい
ツールを用いることも、とても有用です。
評価ツールとして、NPIが使いやすいです。
http://xn--y8jl1nkhle.com/images/guide/bpsd.pdf
上記はどちらかと言うと医療者向けに想定されており、
症状の強さと介護者の負担を別々に記録する欄があります。
これを介護者の記録用に改良した阿部式BPSDスコアも
あります。
岡山大学医学部・神経内科のホームページ~後期研修医・大学院生募集中~
NPIそのものも簡易なスケールで、医療者でなくても記録
出来る使いやすさが特徴ですので病院ではなく在宅や
介護施設でも十分に利用出来ると思います。
また、『コウノメソッド』のスコアを使うことに抵抗が
なければ、DBCシートも使いやすいと思います。
http://www.forest-cl.jp/download/20100219/DBC.pdf
DBCシートの特徴は、BPSDを陽性症状、陰性症状に区別し
てスコアリングしているので、薬剤によりどちらの症状
がどれだけ良くなった、悪くなったという評価がしやすい
こと、同時に抗精神病薬の副作用である錐体外路症状が、
「体幹バランス」として評価出来ることです。
コウノメソッドでは、まずどの薬をどれだけ使う、副作用
や効果がなければ次はこれを使う、等の提案がとても細かく
プライマリのレベルでとても対応しやすくなっています。
細かくはとても書ききれないので興味がある方は書籍の
購入をお勧めします。賛否はあると承知していますが、
エビデンスに乏しい分野であり参考にはなると思います。
この本はメソッドの入門・基礎的な内容がまとまっており、
学んでみたいという介護者・医療者に最適だと思います。
- 作者: 河野和彦
- 出版社/メーカー: 日本医事新報社
- 発売日: 2017/03/18
- メディア: 単行本
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さて、BPSDに使用した抗精神病薬を減量/中止する場合には
大きく分けて次の3つがあると思います。
1.使用した抗精神病薬が効かなかった
2.効果はあったが、副作用が許容出来ないレベルであった
3.効果はあり、副作用も目立たないが長期の使用が心配
なので、そろそろ中止を考えたい
次回は、この3.についてお話をしたいと思っています。