Not doing but being

東京都大田区で開業している訪問診療医のブログ。主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

医療者目線の「死の受容」

昨日は、近年ギア・チェンジという言葉が使われなくなった という話と、しかし実際は殆どの患者さんがギア・チェンジ を経験しているという事実があるというお話をさせて頂き ました。本日はギア・チェンジに関する話題で、 緩和ケア医として有名な有賀先生…

がん治療の「ギア・チェンジ」は過去の言葉か

我が国に「Palliative Care」の概念が入って来た時に、 「ホスピス」という「建物」や、ホスピスに 入院する時期である「終末期」という点が強調され 過ぎてしまいました。そこで、「Palliative Care」 は何もホスピスという場に限ったことではない、 また終…

医療と祈り

宗教と医療は一見、相容れないものという印象が あります。医療は科学であり、根拠・裏付けが はっきりしいているのに対して、宗教の本質は 究極的には「信じる」ことであって、根拠が明確 なものを信用することは「信仰」とは言いません。また、「エホバの…

終末期のリハビリテーション

最近愛読している、終末期・緩和ケア専門のリハビリを 行う理学療法士・藤田さんのブログの記事です。kanwakea-fujita.hatenablog.com毎回興味深いテーマをするどい視点で書いておられる のですが、読者登録が少なくもっと多くの方に読んで 頂ければ良いのに…

「誤診だらけの認知症」

誤診だらけの認知症作者: 座間清出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2016/11/24メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る御自身の親族が誤診から体調を崩された事が 切っ掛けで認知症診療に携わるようになった 座間清先生が、現在の認知症に…

高齢者の認知症とうつ病の鑑別

昨日、高齢者の認知症とうつ病の鑑別が困難な場合 がある事に触れましたので、その見分け方について お話をさせて頂きます。医療者には当たり前過ぎる 内容かもしれません。まず、区別と言っても認知症の患者さんにうつ病が 発症する場合もある訳ですから、…

「老人性うつ」

老人性うつ (PHP新書)作者: 和田秀樹出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2012/03/15メディア: 新書 クリック: 1回この商品を含むブログを見る老年精神科医、和田秀樹先生の著書。 なんと言ったら良いのだろう…。 一言で言うと、この先生は大丈夫だろうか、 …

「うちのセンセイ」

ブログを始めて2ヵ月が経ちました。 なかなか長続きせず、油断すると更新しなくなって しまうタチなので、今回は敢えてはてなProという 有料のブログに挑戦しています。 さすがにこの週末から数日間は多忙で書けなかった ものの、有料がプレッシャーになり更…

緩和ケア医とDr.キリコ

手塚治虫先生の代表作『ブラックジャク』にDr.キリコ という医師が登場するのですが、御存知でしょうか? 助からない患者さんを「法に触れない方法(!)で」 安楽死に導く、という仕事をしています。ブラック ジャックでは準レギュラー的存在で、全部で9回…

ブプレノルフィン(レペタン)

本日の内容は医療者向けになります。 長尾和宏先生の町医者日記の記事から。blog.drnagao.com簡単に内容をまとめると、ブプレノルフィンには色々 な長所がありもっと見直されて良いのではないか という内容。ブプレノルフィンはオピオイドのパーシャルアゴニ…

がん代替療法、医師の態度

本日は最近読んだ朱郷 慶彦さんのブログを紹介します。 朱郷さんは小説や脚本を手掛けるライターですが、 2015年11月に末期がんの宣告を受けています。 ブログの記事は、 朱郷さんが代替医療の話に触れた 途端、読者からの批判が相次いだ、という内容です。g…

胃瘻が減って、経鼻が増えた!?

文春オンラインより。bunshun.jp 2010年、自然に任せて穏やかな最期を迎える「平穏死」 を提言してから6年が経ちました。その間、終末期医療の 現場は大きく変わりました。中でも特筆すべきは、胃ろう で栄養補給をしている認知症高齢者が、56万人から20万人…

「臨床宗教師」

我が国では、医療と宗教は相容れない存在である かのように扱われています。 山崎章郎さんが東北大学医学部で講義されたことが あって、それを聞きに行った時のことだ。宗教性の 重要性を話し始めた途端、学生たちはうすら笑いを 浮かべていた。なんとも異様…

川崎市立井田病院の取り組み

昨日もお書きした通り、がんの治療中の患者さんも 痛みや嘔気、四肢の痺れや不安、不眠等様々な症状 に悩まされている方がおられます。しかし治療中の 患者さんの多くは満足な症状緩和治療を受けていません。 一方緩和ケア外来は、「緩和ケア病棟」に登録す…

「早期からの緩和ケア」は実践出来るのか?

がんの終末期の患者さんの苦痛を軽減する目的で行われて 来た「ターミナルケア」は、より早期の患者さんに対して も必要なケアであるという理解が深まり、「緩和ケア」と 呼び名が変わりました。しかし多くの患者さんは、いえ、 医療者ですら「緩和ケア」=…

「治さなくてよい認知症」

本日は書籍の紹介です。治さなくてよい認知症作者: 上田諭出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2014/04/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見る老年期精神医学の専門家である著者が、今の認知症医療 の問題点、疑問点を取り上げた一般向けに書かれた…