Not doing but being

東京都大田区で開業している訪問診療医のブログ。主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

看取り士

数年前に「看取り士」柴田久美子さんを知った時は衝撃でした。 看取りを職業にする、という発想自体がまず斬新ですが、24時間 寄り添い、抱きしめて送る…。すごいの一言で、まさに理想の 看取りを実践されているのではないかと思いました。幸せな旅立ちを約…

孤独と痛み

ホスピスで仕事をしている時に出会った患者さんの話です。 60代の女性、肺がんの腰椎転移で両下肢が麻痺してしまった 状態で、その患者さんは入院されて来ました。お気の毒です が、それでも幸いなことは麻痺のために痛みの程度は強く なく、少量の麻薬でき…

ホスピスの実情

本日はホスピスについて、知られているようで知られていない、 しかし多くの方に知って頂きたい内容をまとめてみます。 殆どの医療者にとっては常識の話題になります、御了承下さい。www.hospat.org まず、教科書的な説明は、例えば↑この辺りをご覧になると …

ハイスコ舌下

昨日の続きです。※初めにお断りしておきますが、ゴロゴロいったから と言って死前喘鳴とは限りません!他の病態でも、 喉もとでゴロゴロ言うことはあります。原因により、 薬剤の反応も当然違いますし、後述する吸引も全て において推奨されない訳ではないの…

がん末期の呼吸困難治療まとめ

本日のエントリーは医療者向けになります。 2016年に緩和医療学会の「がん患者の呼吸器症状 の緩和に関するガイドライン」が改訂されています ので、大きな変更点を中心に、有名な文献はリンク を貼っておきます。がん患者の呼吸器症状の緩和に関するガイド…

内科医から見たユマニチュード

ユマニチュードはフランスのイブ・ジネストさん達に よって考案・研究され、東京医療センターの本田医師ら によって日本に紹介された、特に高齢者・認知症患者さん に対して行う医療・介護者向けのメソッド(哲学・スキル) のこと。百聞は一見にしかず。ユ…

DNRの患者さんではないのですか?

DNRは「do not resuscitate」の略で、主に患者さんの 予後が不良である時、急変が起こっても御本人もしくは 家族の同意で心肺蘇生を行わない事を指します。例えば がんの末期の患者さんが心肺停止となった時、救命処置 で再び心拍が再開しても、遠くない将来…

終わらない抗がん剤治療

訪問診療・緩和ケア医として出会う患者さんの中には、病状が 進行し、およそ適切ではないと考えられる時期でも抗がん剤 治療が続いている事があります。しかも、これはめずらしい事 ではありません。当初は効果が期待されたであろう抗がん剤も 患者さんの状…

『末期がんは手をつくしてはいけない』

この本は前のブログでも紹介させて頂きましたが、ホスピス に勤務されていた金重 哲三先生の著書です。絶版となって いましたが、今回Amazonのkindle(電子書籍)でこの本が 販売されているのを発見しました。私は過去に金重先生から 書籍をPDFで頂いたので…

余命告知が患者さんに与える影響

本日は「余命告知」について。今日のお話は、2015年11月 に『Journal of Clinical Oncology』という雑誌に載った 以下の論文に沿ってお話をさせて頂きます。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4737862/この文献は非常に有難いことに右上のPDFを…

「セデーションの是非」論争に思う

一昨日、昨日とセデーション(鎮静)についての話をさせて 頂きました。その中でさらっと触れた、『深い持続的な鎮静 (CDS)の是非』について、本日は少し掘り下げてみたいと 思います。まずは平成28年1月に放送された、クローズアップ現代の記事 をご覧く…

セデーション率0.05%の病院

セデーション(鎮静)の話題をもう少し続けさせて頂きます。 セデーションって何でしょう?という方は、昨日の記事で 説明しましたのでご参照下さい。さて、本題に移ります。 半年程前にMedical Tribuneで、東札幌病院における深く 継続的な鎮静(CDS)の施…

在宅でのセデーション事情

今日は訪問診療におけるセデーション(鎮静)について私の 経験から話をさせて頂こうと思います。まず、セデーション を御存知ない方のために説明させて頂くと、患者さんの苦痛緩和を目的として意識を低下させる薬剤を 投与すること。または苦痛緩和のために…

お一人様の在宅死(2)

昨日の続きです。具体的に在宅死にはどのような考えが必要か まとめてみたいと思います。1.出来る限りの準備をすること まず、我が国で「良い死」が偶然やって来ることはとても 少ないとお考え下さい。出来れば元気で余裕がある時に、 最低限以下を読み、特…

お一人様の在宅死(1)

まず、お一人様と一言に言っても、未婚、パートナーと離婚か 死別、子供や兄弟、姪や甥といった肉親がいる場合等色々で、 全くの天涯孤独では少し話が違って来ますがいずれにしても 結論から言えば在宅死は可能です。ただ、全員いかなる場合もか、と言うとそ…

はじめに

こんにちは、こたろうと申します。『not doing but being』。かつて私は同じタイトルの ブログを書いていた事があります。数年前のもので、 お恥ずかしいことにブログにログイン出来なくなって しまいました…。ブログ再開に当たり別のタイトルでも 良かった…