Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

一般の方向け

「異常者」と殺意を生む職場

大口病院の事件は衝撃的な内容でした。 「信じられない」「許せない」という多くの声の中で、 一部の医療者・介護者はTwitter等で高齢者医療・延命治療 のあり方、医療・介護者の置かれている過酷な環境などを 発信していました。しかし、これに対しては、「…

命の重み

私がレジデントの頃の話です。 病院かかりつけの患者さんが窒息で救急救命センターに 搬送されました。一命を取りとめましたが食事も会話も 出来ず、胃瘻に。また、もともと透析をするかどうか ギリギリの方でしたが、救命後は透析も必要となりました。 経過…

入院時に受ける急変の説明

病院に入院すると、家族が病状の説明を受けた時に、 「急変時の方針」を決めるよう求められる場合があります。 もちろん、この場で答えたことが今後も変更不可能ということ ではありません。後に変更も可能です。しかし後述のように いざ起こってしまってか…

同居孤独死

Yahooニュースにこんな記事がありました。headlines.yahoo.co.jp家族と同居をしているのに孤立状態で異常死を遂げる ケースがあると記事は述べています。別の記事によると、 このような「同居孤独死」は都内で年間2000件ある そうです。ちなみに一人暮らしの…

自分で決めない文化

日本において本人よりも家族の意思が優先される場面が多々あるのは 確かに課題ではある。しかしそれを本人自身が望んでいる場合という のもまたあり、それが日本人としての特性だろう。 ACPを進めて本人の意思を最優先させる仕組みを整えていくことは重要 だ…

『母親に、死んで欲しい』

将来介護をする、受ける人になる可能性は、とても高いと 思います。特に家族に介護する/される人にとって、是非 一度は読み、考えて頂きたい本だと思います。「母親に、死んで欲しい」: 介護殺人・当事者たちの告白作者: NHKスペシャル取材班出版社/メーカー…

「一番苦しいのは本人」ですか?

がんの末期に限ったことではありませんが、介護している家族 に向かって「あなたも大変だと思うけれど、御本人の方が辛いの ですよ」等と声がかかることがあります。これは間違っていると 思います。もちろん、痛みや呼吸苦、嘔気などの身体的な苦痛を 感じ…

「死の受容」に対する疑問(2)

昨日の続きになります。kotaro-kanwa.hateblo.jp昨日のブログでは、西先生のブログ記事、「患者さんは死を 受け入れられるのかどうか」を紹介させて頂きました。 そして我が国のホスピスがキュブラー・ロスの影響を強く 受け、まるで「死の受容」に至ること…

「死の受容」に対する疑問(1)

3月28日、川崎市立井田病院の西先生がこんなブログを書いて おられました。www.buzzfeed.comTwitterでも散々絶賛したのですが、私がこの仕事をしながら 長年感じていたことを、とてもやさしくスマートにまとめて おり、さすが西先生だなぁと思いました。テー…

『1000の夜を駆ける: ーわたしは統合失調症』

本日は本の紹介です。統合失調症を発症された著者 『しらたま』さんが、これまでの経験や想いを綴った漫画です。 これは2012年に描かれた作品ですが、AmazonのKindle Unlimitedに 登場したのを発見し読ませて頂きました。1000の夜を駆ける: ーわたしは統…

ホスピス医を目指す私が言われた言葉

医師になる前から緩和ケアに興味があった私は、がんという 病気を学ぶために消化器内科が良いと考え入局しました。 消化器は、食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、 胆嚢・胆管がんなど悪性疾患の患者さんが多いのが理由です。 しかし、医局の…

介護職員への暴力を黙認すべきではない

高齢者や認知症の患者さんは、心身ともに衰えた「弱者」 であり、その人権が侵され易いため、これを守ることが 大切であるとしばしば指摘されます。これはその通りです。しかし同時に介護・支援する側の家族や介護職員・看護師の 人権を尊重すべきだ、という…

寄り添うことは悩むこと

2017年3月14日に開始したこのブログですが、明日で 1年を迎えることになります。敢えて有料のブログを選んだ ことで、「書かないともったいない」ような気分になり、 結果として私にしては頻繁に記事を更新出来たのではないか と思います(笑)。ブログを書…

「それでも良いですよ」~私の考える良い在宅医

いつも参考にさせて頂いている、いまいホームケアクリニック の今井先生のブログ記事から。「在宅医に求められる資質」に ついてのお話です。imai-hcc.com私も全く賛成です。在宅医に求められる資質は、病院医とは 少し異なります。いえ、究極的には人間とし…

『痛い在宅医』

2017年12月に出た、長尾和宏先生の著書。 在宅療養を、特に看取りを考えている御家族に必須の本 ではないかと思います。痛い在宅医作者: 長尾和宏出版社/メーカー: ブックマン社発売日: 2017/12/21メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見…

スパゲティ症候群とクオリティ・オブ・デス

「ピンピンコロリが良い」「眠るように死にたい」と多くの 方がおっしゃいます。しかし「ピンピンコロリ」で死を迎える ことが出来る人は5%に過ぎない、と在宅医の長尾 和宏先生は おっしゃっています。「スパゲティ症候群」という言葉を御存知でしょうか。…

オンライン診療の可能性

医療関係者の方は既にご存知の通り、今回の報酬改定から オンライン診療にルール付けと保険点数が設置されました。 ただ、定められた点数は非常に微々たるもので、手間と初期 費用、維持費を考慮すると完全にペイしないものでした。例によって、今井先生のブ…

医療ドラマと実際の医療

MTproに登録をしている医療関係者以外は読めない記事かも しれませんが、こんな記事がありました。medical-tribune.co.jp曰く、 患者の死亡率はドラマでは22%と、現実の7%の約3倍だった(P<0.0001)。また、救急診療部からそのまま手術室に搬送された患者…

「より良い医療」を受けるために

日本の医療の特徴は、国民皆保険、フリーアクセスと されています。「医療費が高かった」という声も聞き ますが、一方でかかった金額の7~9割は公費で賄われ ています。最近、情報提供書なしで総合病院を受診 すると窓口で一定額の負担を求められるようにな…

「どちらが、本人がより幸福か」という軸

胃瘻造設に当たり、多くの患者さんは自分の意思を表現 出来る状態にないため、家族が決断を迫られることが しばしばあります。「延命」か「実質的な患者の死」を 限られた時間の中で決断しなければならない苦悩は 計り知れないものがあります。また、少し異…

「身体拘束ゼロ」が生む悲劇

一昨日、Twitterで想いのほどを散々呟かせて頂いたのですが…。 私はもともと、「身体拘束を出来る限り減らす」は大賛成ですが 「ゼロ」という考えにはかなり抵抗があります。 そういった考えは過去にも、kotaro-kanwa.hateblo.jpまた、kotaro-kanwa.hateblo.…

終末期の輸液

本日は『いまいホームケアクリニック』さんのこちらの記事 から。imai-hcc.com書いてある内容は、私個人は全く賛成です。 ただ、少し自分の意見を加え、書かせて頂こうと思います。少しずつ衰弱された患者さんが、口から水分を摂れなく なった場合、多く余命…

施設訪問診療の終焉か

昨日、中医協から2018年度の診療報酬改定の個別項目が発表 されました。細かい点数配分はこれからですが、訪問診療は 大きな節目を迎えることになりそうです。個人的にはだいたい 要件を満たしていますので、今回は大きな影響はないと 思っていますが…。具体…

VSEDに対する私見

新城先生が書かれた、VSED (voluntary stopping eating and drinking) に関する記事が、Twitterで話題になっていました。headlines.yahoo.co.jpVSEDとは患者さんが自ら飲食を止めることによって死期を早める 行為を指します。上記の記事では、新城先生が10年…

『身体拘束』を本当に減らすために必要なこと

2018年1月11日放送のクローズアップ現代で、『身体拘束』の特集 がありました。見逃してしまった方は、サイトで内容を閲覧する ことが出来ます。www.nhk.or.jp拘束の存在もあまり知らない一般の方々への問題提起という 意味では大変意義のある内容でしたが、…

ドキュメンタリーに登場する「大門未知子」

現実の医療界に、大門未知子(ドクターX)やブラックジャック はいません。敢えて言うまでもなく、「失敗しない医者」など 漫画やドラマにしか出て来ないことは子供でも知っています。しかし、「ノンフィクション」「ドキュメンタリー」を謳う テレビ番組も…

丸山ワクチンについて言いたいこと

最近テレビで丸山ワクチンについての放送があったようで 末期がんの患者さんからワクチンについての質問・問い合わせ がありました。丸山ワクチンについて聞かれるといつも独特な 気持ちになります。「手伝って」と言われれば期待に沿いたい と思いますが、…

予め、自分で決めることの重要性

ここのところブログで続けて「医師任せにしてはいけない」 ことについてお話して来ました。診療をしていると、 「素人なので分かりません。先生にお任せします」 という方が必ずいらっしゃいます。御高齢になるに従い 比率は増えると思います。 一見、主治医…

「すがる」こととその対象が生む悲劇

今日は前回の続きです。元になる記事は、ex.yahoo.co.jp科学的根拠に乏しい代替療法にすがった結果、たくさんの 金銭を失ってしまう患者さんがいます。場合によっては、 完治の可能性すらある方でも、残念ながらそのチャンスを 失ってしまうこともあります。…

「緩和ケアも治療です」

今日はこの記事に沿ってお話させて頂こうと思います。ex.yahoo.co.jpこの、背を向けた医師と右側から伸びるたくさんの手、 とても印象的な、象徴的なイラストですね。進行再発がんで化学療法を行っても、殆どの場合がんを完全に 治癒させることは出来ません…