Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

訪問診療の基本+α

今日は訪問診療を考えている、一般の方向けの記事です。

今のカタチの訪問診療の仕組みが出来上がったのは
2006年4月からです。訪問診療は文字通り、通院が
困難な患者さんに対し、医師が患者さん宅を訪問し
診察することを指しますが、保険が使える(つまり
基本的に全国一律の料金)である代わりに、いくつか
ルールがあります

まず、訪問診療は『定期的な診察』と『臨時の対応』
から成ります
。定期的な診察は基本的には月2回以上、予め
訪問時間を約束して健康チェックや薬の処方、健康上の
アドバイス等を行います。これとは別に、急に体調が
悪くなった場合、訪問診療を行っているクリニックは
24時間365日、患者さんからの連絡に「対応」する義務
があります
。定期的な訪問と区別して、患者さんが
具合悪い時の臨時の診察を『往診』と呼びます

今のところ、訪問診療は「困った時だけ来てくれればいいよ」
というのは認められておらず、必ず定期訪問とセットになります
もちろん訪問診療というシステムを使わずにクリニックの医師が
往診することも出来なくはないですが、これをやって
しまうと全ての患者さんの往診を受けることになってしまうので
断られる場合が多いと思います。特に検査もろくに出来ない
在宅で、普段診てもらっていない医師に診てもらうのは、
診る方も診察を受ける方もかなりリスクが高くなると思います。

ちなみに、『定期的な診察』は2016年4月から、月1回
も認められるようになっています
。しかし、これは日を
改めて説明しますが月1回の訪問は色々な問題があり、
実際には『月1回の訪問診療』は行っていないクリニック
が多いようです。

また、『臨時の対応』ですが、『対応』の定義がある訳
ではないので電話さえ通じれば「病院に行って下さい」と
言うだけでクリニックは対応した事になってしまいます

つまり、往診は義務付けられていません。もちろん、
電話で済む内容も多く、また医師が聴診器一本持って
往診しても十分な対応が出来ないと判断すれば、私も
病院への搬送を指示する場合があります(例えば心筋梗塞
が疑われる状況や吐血など)。ただ、この場合も病院への
連絡や診療情報提供書の作成等はクリニックで行います。

訪問診療の料金は、訪問のたびに発生するのではなく、
でまとめて翌月末以降に請求があります
。訪問診療の料金は
条件によって随分異なりますが、患者さんの保険が1割負担
で、患者さんの自宅への訪問、月2回の診察を合わせて、
2017年現在6500円程度になります。臨時の往診や検査、
注射等が加われば更に料金は高くなりますが、1割負担の方
では13000円程度(介護保険込み)が上限になります。
極端な話、医師が毎日来て毎日点滴をしても、月13000円
程度で済みます。3割負担の方は単純に3倍程度になると
考えて頂ければ、大きな間違いはありません。
ちなみに施設の患者さんの場合、大きく料金が異なります。

さて、ここまでは何処にでも書いてある知識です。では、
どのクリニックを選べば良いのか、少しヒントをお書きします。

一言で言えば、地域のケア・マネージャーや訪問看護師さんに
お勧めのクリニックを聞いてみることです。お世話になって
いるかかりつけの開業医があれば、そこで相談しても良いと
思います。医師の知識や人柄などは一緒に仕事をする事の多い、
地域の医療・介護従事者の評判はとても参考になります

「こんな先生が良い」という希望があれば伝えて頂くと良い
と思います。臨時の往診にどの程度対応してくれるのか
結構大切な情報です。

実際、訪問診療をやっているクリニックでも年間の時間外の
往診がゼロというところも4割程度あります。フットワークの
軽さも重要なポイントです。個人的には、どれだけ熱意を
もって訪問診療をやっているか
が最も大切で、あとは患者さん
との相性です。これは合わないと思ったら、ケア・マネージャー
に言って「チェンジ」してもらいましょう。

休日・夜間の対応もクリニックによってまちまちです。
たとえば、夜間は当直医に任せているところも多いです。
夜の電話は看護師や事務が出るところもあります(もち
ろん必要に応じて医師にも連絡がつく仕組みになっています
が)。私は携帯番号をお渡ししていて、全て私が対応して
います。一応当直室との二段構えの体制をとっていますが、
当直室にお願いする事は殆どありません。これが良い場合
ばかりではないかもしれませんが、ご参考までに。

専門性の高い病気、たとえば神経難病やがんの末期で痛みが
強い場合等は、やはりそれを得意とする医師が良いと思います。
心疾患や糖尿病等も程度によっては専門医が好ましい場合も
あります。私はやっていませんが、自宅で輸血や胸水穿刺等の
特別な治療をしてくれるクリニックも少数ながらあります。

しかし、高齢者の場合いくつも問題があったり、問題が出て
来たりするので専門医にこだわるよりはその都度必要に応じて
専門家を紹介して頂ければ多くは十分とも思います

また、たくさんの医師を抱える大きなクリニックは、専門家
に当たる機会が多い反面、せっかく担当になった医師が転勤
でいなくなる
場合も結構ありますので一長一短です。

次回は、月1回の訪問診療についてお話させて頂く予定です。