Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

「異常者」と殺意を生む職場

大口病院の事件は衝撃的な内容でした。
「信じられない」「許せない」という多くの声の中で、
一部の医療者・介護者はTwitter等で高齢者医療・延命治療
のあり方、医療・介護者の置かれている過酷な環境などを
発信していました。しかし、これに対しては、「異常な
殺人事件を高齢者医療とごちゃごちゃに論じるな」という、
不快感を伴う反応が多かったです。

私も、事件に絡めて高齢者医療(特に延命)を論じること、
半ば崩壊しつつある介護の実情を発信したことはあまり良い
方法ではなかったと思います。しかし一方で、普段から
多くの悩み、痛みを抱えながら仕事を続けているであろう
介護職の方々が、「何か言わずにはいられなかった」という
気持ちも分かりました。「事件と絡めるな」と言うが、普段
でも世間は声を聴いてくれない、というような意見もありました。

大口病院の事件で思い出されるのは、川崎の施設で起こった
『川崎老人ホーム連続殺人事件(2014)』、福祉施設
起こった『相模原障害者施設殺傷事件(2016)』でした。
どうも、国も世間もこのような事件は狂った異常者の特殊
な事件として片付けたい気持ちがあるように思います。しかし、
実際はもっと根の深いものかもしれません。
高齢者医療・介護に携わり、普段から多くの疑問や問題を
抱えている人達からすれば、風化させてはいけない、という
気持ちがあるのではないでしょうか。

実際、殺人や虐待を犯してしまうのは確かに異常者…なのかも
しれませんが、介護業界に、殺意や敵意を芽生えさせて
しまう土壌がないと言い切れるでしょうか。皆さんに
どうしても読んで頂きたい記事があります。

www.yomiuri.co.jp

もちろん、全てを環境のせいにするつもりはありません。
過酷なのは介護業界だけではないだろう…という意見もあると
思います。それもそうですが、私は今の介護業界はかなり
特殊な環境にあると思います。高齢者の『日常と命』を守る
という非常に重大な責任を負わされながら世間の理解が殆どなく、
頑張るだけ目に見える成果・達成感も得られにくいです。

介護殺人。私は基本的に、ヒトは誰でも本当に追い詰められたら
何をするか分からない部分があると思っています。自分は絶対
狂気に走らないと、どうして思えるのか。

これは私の昨日のツイートです。
私は、もちろん全てとは言いませんが、こうした事件の中で
防げたものもあったのではないかという考えです。介護者が
孤立せず、適切な境遇や支援を受けられることで、入居者も
間接的に恩恵を被ることが出来ると思っています。

私たちの家族や私たち自身がいつかはお世話になる介護・医療。
少しでも良いものになるように、まずは理解するところから
始めませんか?