サンドスタチンの今(2)
昨日の続きです。昨日は、がん終末期に起こる腸閉塞
に昔から使われてきたサンドスタチンの紹介。
しかし新たなエビデンスは効果に疑問を投げ掛ける
結果となりました…という内容でした。
この内容について、『緩和ケア2015年9月号』で特集
されています。文献や、権威の先生方の意見も載って
おり、結構ハイレベルな内容になっています。
在庫が限られているので、サンドスタチンをめぐる
最近の議論に興味がある方は是非購入をお勧めします。
緩和ケア2015年9月号 (悪性消化管閉塞にどう対応する? どうケアする?)
- 出版社/メーカー: 青海社
- 発売日: 2015/09/18
- メディア: 雑誌
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私も特別な意見や提案を持っている訳ではありませんが、
やはりサンドスタチンの出番が少なくなった感は否めません。
必要なことはサンドスタチンの長所と短所を知り、
まずは同様の効果を持つ別の薬剤の使用を検討すること
だと思います。しかし他の薬にはない薬理学的な特徴を
持つ薬ですから、必要な場合には躊躇なく使用しなければ
いけないと考えます。
使用する医師が最低限知らなければいけない知識をまとめます。
まず、サンドスタチンですが経験上効果が出やすいのは
輸液を500~1000mlに絞ること。上腹消化管の閉塞では
効果がない事が多いですが、逆に大腸の閉塞では時に
著効がみられます。効果は24時間程度で出ることが多く、
3日程度使用して効いていなければ中止を考慮すべきです。
代替出来る安い薬にはハイスコ(保険適応が微妙)と
ブスコパンがあります。また昨日ご紹介した聖隷三方原
のサイトにあるように、消化管分泌を抑制するH2ブロッカー
とステロイドで同様の効果が期待出来る場合があること。
これらはでサンドスタチンと併用でも使われます。
オピオイドも腹部疝痛にしばしば推奨されます。よく
サンドスタチンと併用されます。
またサンドスタチンの問題として一度使用し多少でも
効果があると、なかなか中止に出来ないこと。これは
初めには効果があったが病状が悪化して無効になる事
もめずらしくないからです。中止の基準がなく、一時的
にでも効いた記憶があると患者さんが継続を希望される
ので悩ましいところです。少なくとも一度中止して、
効果に差がなければ中止が望ましいのは確かです。
ちなみに改善せず経鼻胃管を挿入した場合もサンド
スタチンは意味がないと思われ、中止すべきです。
私はホスピスでサンドスタチンが効いた多くの患者さん
の笑顔を覚えているので、患者さんを選べば大きな効果
が期待出来る薬である、ということに疑いは持っていません。
ただ、本剤に限らず慣例に従い漫然と使用するのではなく
賢い使い方が求められている事もまた当然だと思います。
このような薬剤の効果や使い方は一般の方には面白くも
なんともないかもしれませんが、次回はサンドスタチン
シリーズの最後として、サンドスタチンの在宅での使用方法
をまとめてみたいと思います。