Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

看取りを支える

長尾和宏先生のブログ記事を紹介させて頂きます。

blog.drnagao.com

とても大切な内容を取り上げて下さったと思います。
介護施設における看取りの現場で、「体温が上がりました」
「血圧が下がりました」、「酸素の数字が下がりました」と
時間を問わず連絡して来ることに触れ、看取りの在り方や
介護士の「教育」について問題提起をされています。

この問題に関して言えば、簡単な解決策は電話を掛けて欲しい
バイタル具体的に伝えておけば良いと思います。
「体温38.5℃以上なら電話して」とか、「酸素が92以下なら
連絡下さい」とか。確かにバイタルが全てではありませんが、
それ以上を看取りの経験がない介護士に一様に要求するのは酷
です。あるいは、施設の介護士さんからの連絡は当直専門の医師
や看護師がまずファーストコールを受ける体制を作ることです。
私もそうですが、自分で電話を全て受けることにしておいて、
電話が多いと嘆くのはちょっと違うと思います。

ただ、少し視野を広げ、これからの看取りについて考えるので
あれば、職員の教育は必須です。介護に資格・キャリアがある
ように、看取りにも学びや経験が必要なのは言うまでもあり
ません。今の若い人は、看取りの経験などない、死の過程を
看たことがないのが普通でしょう。夜一人で看る不安は容易
に想像出来ます。何の準備もなく看取りをしようとするのは
あまりに無責任です。看取りを多く行っている施設や、ホス
ピス等で研修をお願いする等色々な方法があるはずです。

また、施設・医師・家族の信頼関係も重要です。医師が、
「何故報告しなかった」、ご家族が後で「何故医師に連絡
しなかったのか」となれば多くはあまり意味のない報告を
逐一しざるを得なくなり、結果職員も医師も疲弊して
「看取りは無理」ということになるでしょう
。看取りが前提
の状況であればどんなに細かく報告をしても、予後や寿命を
著しく良くすることは出来ないわけですから、極端を言えば
御本人が苦しんでいなければ連絡など不要なわけです。
そう考えればICUのように頻繁に熱を測ることなど無意味
ですし、要は信頼関係ということになると思います。

理想を言えば、看取りは積極的に看取る意思がある人間が担当
した方が良いと思います。希望していない介護職員も非常に
多く、精神的な苦痛だけが強くなります。経営者は高い介護
点数に惹かれるかもしれませんが、ホスピスを望んで勤務した
医師・看護師ですら、「燃え尽き」があることを忘れないで
頂きたい
と思います。

とは言え、少子多死社会では介護に携わる方が看取りをしない
という訳にはいかないでしょう。であれば、携わるスタッフを
中心にやはりきちんとしたシステム作りや医療機関・家族との信頼関係、
サポート体制を築いていくことが大切だと思うのです。