Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

「ヘルプマン!!」とキラキラ系介護

今回は、前回の続きの予定のつもりでしたが、うまく
まとまらないので、他の内容にさせて頂くことにしました。

ヘルプマン!!

ヘルプマン!!

皆さんは『ヘルプマン!!』という漫画を御存知ですか?
介護士が主人公の漫画で、随分前から有名ですよね。調べて
みると2003年にスタートしているとのことです。実は私は
今回初めて読みました。読んでみて知ったのですが、てっきり
旧版のリメイクだと思っていた本作は、前作からの続きだった
のですね。旧作は『ヘルプマン!』で感嘆符『!』の数が違う
ようです。第一巻は「胃瘻」がテーマでした。

私の本作品に対する感想は、非常に丁寧に取材をされている
なぁ、でした。確かに主人公の百太郎(ももたろう)は熱血
過ぎて、実際の介護経験者からすると「これはねーよ」と
思われてしまう内容だと思います。「ジジババを笑顔にする!」
と突っ走る百太郎。胃瘻の患者さんにトンカツを食べさせようと
するシーンはその象徴でしょうか。

ちょうど今日、「キラキラ系介護」についてのブログを読み、
私は百太郎を思い浮かべてしまいました。

www.kaigosos.com

百太郎は「ナルシスト」ではないようですし、この記事が
そのまま百太郎に当てはまるわけではないかもしれませんが、
介護経験者からすれば現実離れした百太郎の「キラキラ感」が
鼻についてしまうかもしれません。実際はそんなに上手くは
いきませんし、一人の高齢者に一日付きっきりも不可能です。
漫画だから良いですが、カツやころもで窒息してしまったら
百太郎は責任を取れません。

しかし、視点を変えてみましょう。『ヘルプマン!!』は現実の
介護の問題点、矛盾点を上手に描いています。百太郎がいない
ヘルプマン!!』は現実そのものです。胃瘻がなければ施設に
入れない、という記述もリアルですし、認知症の父親の介護で
疲れ果ててしまった娘の言葉が印象的です。セリフを少し引用
させて頂きます。ちなみに娘さんは、自らも癌の治療中という
設定です。

でも…口から食べて…少々元気になったところで……
認知症が治るわけじゃないでしょう……?
むしろ、ハンパに元気になられたら、また問題が増えるだけ
じゃないですか。

わかってるわよ!
どんな無慈悲なことを言っているか……
でも怖いのよお……
いったいいつまで背負えばいいのか……

正論を突き進む百太郎は周囲の人々を傷付けています。まさに
キラキラ系かもしれません。しかし、この本のテーマは「みんなで
百太郎になろう」ではないと思うのです。介護を知らない方に
介護を知ってもらう、興味を持ってもらう。一石を投じる。
問題提起なのではないでしょうか。実際、百太郎が出て来なければ、
話はちょっと悲惨過ぎて救いがありません。百太郎の存在で、
漫画のバランスがとれている、とも考えられると思います。
少しでも介護が明るくなって欲しいという筆者の当然の希望・願望
が百太郎なのだと思えば自然です。

なんだかんだで私は他の巻も読んでみたいと思いました。
そのうちまた、ブログで紹介させて頂くかもしれません。

【追記】食事が誤嚥性肺炎の原因ではない、は言い過ぎです。
むせ込んだエピソードの数時間後に高熱が出るような典型的
誤嚥性肺炎は確かに少なくなりましたが。