Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

『1000の夜を駆ける: ーわたしは統合失調症』

本日は本の紹介です。統合失調症を発症された著者
『しらたま』さんが、これまでの経験や想いを綴った漫画です。
これは2012年に描かれた作品ですが、AmazonのKindle Unlimitedに
登場したのを発見し読ませて頂きました。

1000の夜を駆ける: ーわたしは統合失調症ー

1000の夜を駆ける: ーわたしは統合失調症ー

優等生とも言える学校生活を送っていたしらたまさんですが、
中3の時に前触れもなく心のバランスを崩し統合失調症と診断
されます。とにかく何も出来ない日々、かと思えば感情を
コントロール出来なくなり人と衝突したり自分を否定するような
妄想や幻聴に苦しめられたり。そして同じく苦しみながらも
寄り添ってくれた家族への感謝が綴られています。

統合失調症は病状だけみると異質・怖いというイメージが
あると思います。幻覚・妄想に支配されれば時に大きな声
を出したり暴れてしまうこともあります。しかし、このような
時には患者さんも大きな不安・混乱の中にあり、理性の部分
ではとても苦しんでおられます。一方で表情も乏しく独り言
を言ったりしている陰性症状の時期もやはり患者さんは
何も出来ない苦しさの中にあります。同じご病気に苦しむ
方であれば共感出来る部分があると思いますし、周囲の皆さん
には見えにくい患者さんの「人生の物語」がとても良く理解出来、
また想像出来るようになるのではないでしょうか。

精神科をローテートした時、精神科のDr.から言われたことは、
統合失調症の患者さんは周りを気遣う優しい人に多い、と
いうことでした。「ガラスの心」と言うそうですが、周囲の
出来事が自分で処理出来なくなって心のバランスを崩して発症
すると言います。それもこの漫画を読んでいると良く
分かる気がします。

実はしらたまさんはその後引きこもりを克服し、同じ病気を
持つ男性と結婚されています。続編である「トーシツの花嫁」
は読売新聞やNHKでも紹介されており、すべてamazon kindleの
Kindle Unlimitedで読むことが出来ます(読み放題のサービス
がなくても250円で購入出来ます)。単に疾患の理解を越えて、
人と人が自分の弱さと向き合いながら相手を大切にしようと
思う気持ち、姿には心を打たれるのではないかと思います。

そしてもちろん、ご病気である御本人だけでなく周囲で支える
立場の家族も、時には医療・介護職もまた傷付き助けを必要と
しているという理解も同時に大切だと思います。続編にあたる
本は以下の通りです。2巻は2018年3月に出たばかりのようです。

トーシツの花嫁?

トーシツの花嫁?

トーシツの花嫁?

トーシツの花嫁?

※他にもしらたまさんが書かれた本はあります。