Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

医療ドラマと実際の医療

MTproに登録をしている医療関係者以外は読めない記事かも
しれませんが、こんな記事がありました。

medical-tribune.co.jp

曰く、

患者の死亡率はドラマでは22%と、現実の7%の約3倍だった(P<0.0001)。また、救急診療部からそのまま手術室に搬送された患者はドラマの71%に対し、現実では25%(P<0.0001)。生存患者のうち、治療や手術後に長期ケア施設に移った割合はドラマの6%に対し、現実では22%(P<0.0001)。さらに重傷患者のうち、ドラマでは50%が1週間以内に退院していたが、現実では1週間以内に退院できたのは20%にすぎなかった(P<0.0001)。

つまり、医療ドラマの重症患者は実際より死亡率が高く、しかし
「緊急手術」が多く、退院が早いということです
。まさに、
「ドラマチック」なわけです。実際にはそこまで「緊急手術」は
多くないし、回復した後も長期間入院をしたり、徐々に衰弱したり
入退院を繰り返す患者さんも多いのです。心筋梗塞で搬送されて
来た90歳の男性が保存的治療の経過中に肺炎を併発し、治癒したが
寝たきりになり、胃瘻を造って療養病院に転院となった。そういった
ありがちで「地味」な展開はドラマには合わないのでしょう。

「たかだかドラマじゃないか、誰も現実と思って観てやしないさ」
という方も多いと思います。確かにそうかもしれません。しかし、
「何故原因が分からないんだ」、「入院しているのに悪くなるんだ」、
「入院中に転倒や誤嚥性肺炎を起こすなんてミスじゃないのか」、
「病気が治ったのなら、何故いつまでも食べられないんだ」と
いった声は溢れています。報道番組やドラマに登場する一部のみが
医療や病院のイメージになっており、理想と現実のギャップを
生んでいる部分も確実にあると思います

「ときに癒し、しばしば和らげ、つねに慰む」という言葉があり
ますが、こうして考えると実際の医療とは患者さんに劇的な改善
をもたらすことよりも、長期に向き合い、支えるといった、およそ
ドラマにはならない「地味で長い」部分が実は中心なのではないか

と思ったりします。また、ドラマは単純で分かりやすく実際の臨床は
複雑でとても分かりにくいことが多いのです。

現実離れした期待は全員にとって良いことではありません。ドラマ
は視聴率が全てなので難しいですが、医療者としては皆さんに医療
をなるべく正しく理解し考えて頂くような内容も期待してしまいます。