ケトン食ががんを消す
更新が空いてしまいました。
今日は2016年に出版された、こんな本の話題を。
- 作者: 古川健司
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2016/10/18
- メディア: 新書
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『がんが消えた系』の本は大半インチキだと思いますが
この本は以下の理由から信頼に値すると納得出来ました
ので紹介させて頂くことにしました。
1.筆者は多摩南地域病院の現役医師である
→密室性の高いクリニックと違い、多くの職員の目がある
2.学会発表もされている
3.うまくいかなかった症例数も公開している
4.他の治療を否定したり、高価な食品を勧めたりしていない
糖質制限を少し実行するだけで体重減少や血糖コントロール
には著しい効果があるのが分かりますが、興味を持って色々
な本を読んでいるとこれをがん治療に利用出来ないか、と
考える方が多いようです。シンプルな理由ですが、がんは
ケトン体を殆ど利用出来ず、その分糖を物凄い勢いで取り
込み、エネルギーとして利用しているからです(他にも
色々と理由があるようなのですが)。
まず、こんな本があります。
- 作者: おちゃずけ,宗田哲男
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2017/06/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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賛否ある内容を事実のように書いてある箇所があり少し
気にならないでもないですが、糖質制限を理解するには
良い漫画だと思います。さて、この中で私が非常に興味
を持ったのは最後に出てくる『コータ君』のエピソード
です。2016年に24時間テレビに出演した子らしいですが
彼は14歳で『脱分化型、脂肪肉腫』を発症してしまいます。
肺転移が明らかとなった時点でケトン食(高度な糖質
制限食)に切り替えます。結果、肺転移巣は消え、
今でも元気に過ごしています(ここ最近Facebookに
1年ぶりの画像検査にも異常がなかったと書いてあり
ました)。※コータ君は同じ食事療法をしているという
だけで、古川先生とは直接関係ありません。
この男の子のことを知っていましたので、この本の内容
も有り得るかもしれないな、と思えたのかもしれません。
さて、本書の内容ですが、なんと18人のがんステージⅣ
の患者さんにケトン食治療を行い、5人が完全寛解(CR)、
部分奏功(PR)が2人、進行制御(SD)が8人、増悪
は3人だけでした。
ただ、著者の古川医師は、通常療法(手術、抗がん剤)を
併用しています。「な~んだ」という声が聞こえて来そう
ですが、ステージⅣが抗がん剤のみでここまで好成績を残す
ことが出来るでしょうか(本には実際の患者さんの経過が
書かれています。特に抗がん剤が効きやすい癌ばかりを
集めている訳でもありません)。
ここで言えることは、ケトン食は他の治療に悪影響を及ぼす
方法ではないこと。高額な『何か』に大金を払う必要もない
こと。体系的な栄養学を学び患者さんや家族も積極的に病気に
関わって行くことが出来る、等良い材料が多いこと。
いくらかでもプラスになる可能性はありそうだと思いました。
そしてゲルソン療法等と比べればずっと楽に実行出来ること
も魅力ではないかと思います。
もちろん、この患者さんたちも、経過が良好とは言えたかだか
20人弱で数か月~1年程度の経過を追っているだけですし、
歴史が始まったばかりの治療法なので古川先生が現段階で
「正しい」と思っている理論も本当に全て良いものかどうかも
分からないと思います。
しかし、あらゆる疾患に対して、現代医学はしっかりした栄養学的な
アプローチ法を持っていないのは確かです。がんに対する栄養学として
確立したものはありません。それならば納得出来る栄養法を取り入れる
のは決して悪いことではないように思います。
最後に…
必ずきちんと勉強するか、詳しい先生に相談して始めて
下さい。糖尿病や、肝臓・腎臓の機能が落ちている方は、
治療がリスクになる事も有り得ます。「安易に考える」
ことは何事においても賢いことではありません。