Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

終末期の在宅酸素使用は保険適応外

先週末、私がTwitterで取り上げた話題です。
多くの方に知って頂いた方が良い内容なのでブログでも
お話させて頂こうと思います。

まず、6月15日の記事にも書きましたが、終末期医療は
患者さんの苦痛を取り除くために行う医療には保険適応
外のものが多く、多くの訪問診療医が苦労しているという
現実があります。

kotaro-kanwa.hateblo.jp

本日の話題、在宅酸素もそのひとつです。
特にがんの末期では呼吸困難を伴うことがあります。
特に問題になるのは肺がんですが、その他でも胸水
やその他の合併症を伴うと息苦しさを伴うように
なる事があります。

在宅で療養されている患者さんに重篤な呼吸困難は
多くはないのですが、やはり時々いらっしゃいます。
そんな時、在宅酸素で呼吸苦が緩和され、自宅療養が
継続出来る場合が実際にあるのです。

しかし、終末期の在宅酸素は厳密には保険で認められて
いません。理由は、在宅酸素の保険適応である『慢性
呼吸不全』ではないからです
。在宅酸素は、肺気腫や
肺線維症、重症の心不全など慢性的な低酸素状態の治療
と位置付けられているため、『急性』の病態に対して
使用される事は本来許されていません。

「あれ、でもこの前肺がんの患者さんが自宅で在宅酸素
を使っていたよ」という方がいらっしゃるかもしれません。
これはその訪問診療のクリニックが、保険外で使用して
いるのです。医師が治療上必要と判断した場合、使用する
事が出来ます。これまでは、厳密には保険適応でなくても
呼吸困難等のやむを得ない事情では認められる場合が
多かったのです。しかし、これが最近査定される事が多く
なって来ました。審査する側が、医療費削減のために、
高価な在宅酸素を厳しく査定するようになったのです

長くなりましたが、これが私のTwitterで書かせて頂いた
内容でした。

『査定』された場合、在宅酸素のレンタル料約70000円は
クリニックが全額支払う事になります。患者さんの負担
は直接は増えませんが、この状況では訪問診療医が酸素の
使用を躊躇う可能性が高くなり、そのしわ寄せは患者さんに
行くことになると思います。「住み慣れた我が家で最期
まで」をスローガンに、在宅医療を推進して来たにも
関わらず、呼吸困難で搬送される患者さんが増えたり、
苦しいのに我慢しなければいけないとしたら、この状況
はどうにかしなければいけないのではないかと思って
います

私が在宅酸素を話題にする前に、聖ヨハネ会桜町病院
の前ホスピス科部長・山崎章郎先生も同じ話題に触れて
いました。

www.sankei.com

山崎先生の文章の方が分かりやすい…^^;ので是非お読み
下さい。週ごとの診療報酬とする案も大賛成です。

もちろん私達も一律在宅酸素を使ったりしていません。
必要なのはせいぜい10人に一人か二人です。

問題は酸素だけではなく、多くの医療であまり厳しい
審査があると、ただでさえ訪問診療で看取りを引き受ける
医療機関が少ない現状が更に悪化する事を懸念します

患者さんが安心して自宅で療養が出来るように、
制度の改善を強く望みます。