Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

「誤診だらけの認知症」

誤診だらけの認知症

誤診だらけの認知症

御自身の親族が誤診から体調を崩された事が
切っ掛けで認知症診療に携わるようになった
座間清先生が、現在の認知症において誤診がいかに
多いか、そして誤診のパターン分析や内服を
止めただけで改善に至ったケース等を紹介
されています

実は座間先生はコウノメソッドの『実践医』
だったのですが、河野先生に失望され、実践医を
辞めておられます。これは座間先生のブログに
詳しいのでここでは割愛しますが、そもそも根拠に
基付き理論的に話をされる座間先生と、「思い付き」
「思い込み」の多い河野先生では水と油のように
思います。

ブログは座間先生からの一方的な内容なのですが
大方間違いはないのでは、と個人的には思って
います。ただ、座間先生の書き方も品がないと言うか、
しつこいと言うか、ここだけはちょっと見るに堪えません。

話が逸れましたが、座間先生の熱意と知識が溢れた
とても良い本です。エビデンスも豊富に紹介しつつ
慎重に書かれた本であり、非常に内容が濃いです。
いかに誤診が多く誤投与によって患者さんが苦しんで
おられる現実があるのか。一度は読んだ方が良い
内容になっていると思います。

110ページ辺りから先の解剖・生理的な内容について
はかなり難易度が高く、私でも十分に知らないこと、
一度読んだだけでは理解しきれない事がありました。
最初は第3章を飛ばして読んでも良いと思います。
(ただ、第3章こそが他の書籍と大きく異なる、
本著の特色だとも思います!)。

ところで、ドネペジルがアルツハイマー型認知症の
進行を抑制すると思っておられる方はまだいらっしゃい
ますか
?ドネペジルはアセチルコリンの働きを強める
だけで、脳の萎縮を抑える訳ではありません。
流石に医師でそのように考えている先生はもう少ない
とは思いますが、一般の方では誤解されている方が
まだまだいらっしゃると思います。「そうなの?」と
いう方は是非座間先生の本を読んでみて下さい。

話は変わりますが、座間先生が指摘するように、
確かに「良かれ」と思って認知症診療に参加する
開業医・内科医の誤診・誤投与が問題になって
いるのは事実だと思います。治療に長けた専門医
が対応出来ればベストなのは言うまでもありません。

ただ、500万人近い認知症の患者さんを専門医だけで
診れるのか、認知症の専門医は多くの患者さんが
同時に抱える内科的疾患をきちんと診れるのか、という
考えもあります。プライマリは診るべきではない
というのは現実的ではありません。

現実的にプライマリが追いつかないのであれば、家族
こそが知識武装し患者さんを守らなければいけない、という
考えは賛成です。しかし、多くの患者さんに対応するには
プライマリ医のレベルを上げるという方向でも考えざるを
得ない
はずです。ただレベルが低い等と言うだけ
でなく建設的なご意見も欲しかったです。

少なくとも河野先生は、御自分の経験を分かりやすく
体系付けて多くの非専門医に情報を発信している点では
尊敬に値すると私は思っています。実際に河野先生の
やり方で改善した患者さんもいるので、私は先生からの
情報をとても有難く思っています。