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Not doing but being

在宅緩和ケアの普及を目指して

コウノメソッド

昨日は認知症患者さんの多くに「易怒」があり、この症状
が介護負担を増す大きな原因のひとつではないか、と述べ
ました。根底には患者さんの不安・苛立ちがあり介護の
工夫で軽減出来る可能性があるというお話をさせて頂き
ました。しかし、誰も患者さんを怒らせよう、不安にさせ
ようと介護をする人はいません。手を尽くしても患者さん
の「怒り」「暴言」「介護抵抗」が治まらない事があります。

本日は、「易怒」に対する薬物治療の実際をお話する予定
でしたが、私が普段行っている周辺症状の治療はコウノ
メソッドの影響を強く受けており、まずはそのメソッドの
説明から入らせて頂くことにしました。既にコウノメソッド
をよく御存知の方にはあまり意味のない記事になりますが、
同時に私のコウノメソッドに対する考え方も述べようと
思います、お時間があればお付き合い下さい。

コウノメソッドは名古屋で開業され、熱心に認知症の診察
をされている河野先生が自身の経験をまとめた治療法です。
コウノメソッドというと治療にフェルガード・プロルベイン
等のサプリメントを取り入れていることでも有名ですが
とにかく患者さん・家族中心の治療法であり、個人に
合わせた絶妙な薬の使い方で驚くほど症状が改善した患者
さんの姿が、御自身のブログや書籍で紹介されています。

一方で成功例ばかりを紹介するやり方や、一個人の医師の
経験というエビデンスに乏しい内容を疑問視・避難する
声もあります。また特定の医薬品やメーカーに対する
河野先生の批判にはいくらか偏りや感情的な部分があると
感じます。それも含めて河野先生のキャラクターなのです
が誤解や不信感を生んでいることもあるでしょう。

ただ、今の認知症医療も相当偏っているのも確かです。
患者さんに触れもせず、画像・診断・データ絶対主義で、
介護者が何を困っているかという視点のない認知症治療
は明らかにあるべき姿ではないと私は思っています。
私が河野先生の考えに共感する部分は、まさにこの「介護
者を救う」という視点
がメソッドの中心にあることです。

コウノメソッドは私が訪問診療を始めた2010年頃から、
毎年更新された内容をインターネット上で見付けて利用
させて頂いて来ました。河野先生の凄いところはこの
熱意と共に御自身の経験を体系化し多くの専門ではない
医療者にも分かりやすく実践出来るようにまとめている
こと、そしてそれを無償で配布するという、臨床家と
してのお気持ちだと思っています。

私はコウノメソッドを完全無欠で絶対の治療法だとは
思いません(第一、そんな方法がある訳がありません)。
こんな私ごとき言うのも何ですが、メソッドにも限界も
欠点もあります。メソッドを盲信し、それ以外の治療を
批判するつもりももちろんありません。ただ、まだまだ
治療法の少ない認知症の分野でせっかくこのような
提案がある訳ですから、柔軟に治療に取り入れ使わせて
頂かない手はないと思っています。

明日はこのコウノメソッドを中心に、認知症患者さんの
「易怒」を改善させる治療についてお話をさせて頂きます。

※最後に、2017年4月現在河野先生のブログは実践医だけに
公開されており一般の方が観られるかたちのものは更新
が止まっています。これまで毎年配布されていた
『コウノメソッド』も2017年版はありません。いくつかの
出来事で河野先生が心を痛めておられるのではないかと
思っています。認知症の介護にありメソッドに興味がある
方は過去のブログ、書籍や講演会でメソッドを知ることは
出来ます。

河野先生の旧ブログ
ドクターコウノの認知症ブログ

現在、コウノメソッド実践医として精力的にブログを更新
されており私も参考にさせて頂いているお二人の先生を
紹介させて頂きます。

ドクターイワタの認知症ブログ
plaza.rakuten.co.jp

鹿児島認知症ブログ
www.ninchi-shou.com