98%が「暴言や暴力受けている」
昨日の記事の中に、介護者である家族(親族・同居人)
が要介護者である認知症の方、高齢者を虐待してしまう
ケースが年間にどれだけあったかをお書きしました。
読んで下さった方、覚えておられますか?
年間、15000件です(平成26年度)
相談、通報は25000件、「つい手をあげてしまった」数は
計り知れないと思います。
上記の資料によると、介護施設で施設の職員による虐待数
も報告されています。認定されたのは300件です。これが
平成27年度には408件になっています。日々ニュースに
なるのは施設の虐待ですが、家族から比べれば件数は
とても少ないです(当然と言えば当然ですが)。
少し前までは、「なんてひどい施設だ」「そんな奴が介護
をしているなんて」という解釈が多かったようです。もち
ろん、世の中に悪い人間がたくさんいる事を考えれば、
医療者にも介護の職員にもとんでもない人もいると思います。
ただ、最近は介護職員の置かれている過酷な状況に目を
向け、この状況が変わらない限り虐待は減らない、という
ことが、ようやく言われ始めています。
本日のタイトル、98%が「暴言や暴力受けている」という
のは、実は介護施設の職員のアンケートです。もちろん、
暴言・暴力は入居者である認知症の患者さん・高齢者から
のものです。その記事はこちらです。これを見た介護職員
の方々の反応は、殴られる、あざが出来る、罵られるのは
「日常」だそうです。もちろん上司に相談しても殆ど
解決しない、というアンケート結果もあります。
「認知症の患者さんは、分からなくなっているのだから
仕方ないだろう」と言われれば、それはその通りです。
私も仕事上、その辺りは良く分かっているつもりです。
しかし、「仕方ない」で済ましているから介護者の
ストレスによる虐待も減らないし、深刻なほどに離職者
が多いのではないでしょうか。新人ばかりでは介護の
質も上がりませんし、職員が集まらず介護事業の継続
すら厳しい状況になっている施設もあるのです。
周辺症状が強いと、「この施設では看れません」という
方が、今後は増えていくのではないでしょうか。
また、これは介護施設職員のアンケートの結果ですが、
自宅で介護している家族も、近い状況なのではない
でしょうか。「仕方ない」で済みますか?
このまま国の方針通り「在宅へ」と言われても、
本当に出来るのだろうかと思ってしまいます。
いずれまた日を改めてお話をしますが(施設の方々の
ケアの技術を上げる努力は精一杯して頂いている前提
で)私は認知症の患者さんのBPSDをコントロールする
目的で薬を使うことはもっと容認されるべきだと思っています。
具体的には今のところ睡眠薬や抗精神病薬が中心に
なります。当然副作用はありますが、(施設や実際に
介護をしている家族が使いたくないという場合は別として)、
介護者の「なお一層の努力」を求めるのははっきり
言って何の役にも立たないアドバイスです。
職員の方々が安心して介護出来る状況が経験豊かな
介護者を育て、より良い介護に繋がると私は考えています。