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Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

介護殺人

昨日また、介護殺人の記事がYOMIURI ONLINEに出ていました。
sp.yomiuri.co.jp

4月2日、朝日新聞の一面で『入院病床 1割減らす計画』
という見出しの記事が掲載されたのは記憶に新しいと思います。
また、横には「在宅医療促す」とあります。また同時に
「介護保険自己負担額3割」の議論も始まっており、介護
をめぐる、介護者の身体的・経済的負担は増えるばかりです

介護者が、その苦しみや将来への悲観から被介護者である高齢者、
多くは認知症の患者さんを殺害してしまう痛ましい事件が、
年間20件余り起きています。主に不眠や排泄をめぐるトラブル、
認知症である患者さんからの暴言・暴力、介護のために職を失い
金銭面での苦悩、生活保護や介護施設の利用困難等の理由が背景
にあります。2016年にはNHKスペシャルで「介護殺人 当事者
たちの告白」という番組がありました。各々のケースを見ていく
と、壮絶としか言いようのない介護の現状があります。

www.nhk.or.jp


殺人とまで至らなくても、介護者(家族)の高齢者虐待は
我が国で年間15000件の報告があります。これらの多くに
介護者の「うつ状態」が関係していると言われますが、
2005年の厚生省の調査では介護者の4人に
一人がうつ状態
、という結果もあり、また、介護経験者の4人
に一人が患者である家族を「手にかけようと思ったことがある」
と答えている調査もありました。介護者自身の
自殺も介護殺人よりもずっと多く、年間300件程度が報告
されていると言います

何が出来るでしょうか。制度の充実はもちろんですが、きちんと
案内しないと制度がややこしくて利用が出来ない場合もあります
ごく一部の不正受給者のために生活保護が受けにくくなっている
のも問題
です。なにより、まずは多くの国民が介護の難しさを
理解し、「認知症の患者さんや高齢者は家族で看る」という
思い込みをなくす
事も大切です。このような無理解も間違いなく
介護者である家族を追い詰めています。また、2007年に家族が
目を離した隙に認知症の患者さんが踏切に立ち入り電車にはね
られた事件では、JR側が家族に損害賠償を求め訴訟まで起こして
いました(最高裁で損害賠償責任は否定)。このような報道が
ある度に、介護を続けるご家族を追い込むことにはならない
でしょうか
。法律の助けもとても大切なことです。

高齢者の徘徊を防ぐために鍵をかける、暴れて落ちない
ように抑制着を着せることも拘束、夜眠って頂くため
に睡眠薬を飲んでもらっても「薬物による拘束」と
何でもかんでも虐待にしてしまう「良識ある高齢者
の味方」が多いですが、まず介護者を救わなければ
認知症・高齢者の患者さんを救うなど「絵に描いた餅」、
全くの夢物語です
。私はこの事を、これからも何度も
ブログで主張して頂きたいと思っています。

介護殺人:追いつめられた家族の告白

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介護殺人の予防―介護者支援の視点から

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