Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

サンドスタチンの今(1)

消化管内のがんや、がん性腹膜炎の患者さんで
腸の中の内容物(腸液・便・ガス)が詰まって
しまう場合があります。これを腸閉塞と言います。
主な症状は嘔気/嘔吐、腹痛、腹部の膨満感です。
腸閉塞はがん以外でも起こりますが、がんが原因
で起こった腸閉塞は自然には治りません。
患者さんが元気で閉塞部位がひとつなら手術が
選択されますが、しばしば全身状態が悪くなった
患者さんに起こるため、手術が出来ません。
また閉塞部位も複数だったり再発もめずらしく
ありません。

サンドスタチン(オクレオチド)は、ホスピスでは
随分前から使われており、私も「確かに効果あるな」
と感じていました。鼻から腸液を吸い出すために管
を入れなくても、嘔吐が減り、時には飲水や軽食が
摂れる方もいらっしゃったのです。その後効果が
確かめられ、2004年に『進行・再発がんの緩和医療
における消化管閉塞に伴う消化器症状の改善』という
適応を取得
し、ホスピス以外でも使われるよう
になりました。2011年の緩和医療学会のガイドライン
でも、がんによる腸閉塞に対してサンドスタチンは
「使う、強い推奨」となっていました。

さて、長くなりましたが、ここからが本題です。
サンドスタチンは実は高価な薬です。1日量で10000円
くらいかかります。効果があれば使用すべきですが、
効いているのか効いていないのか分からない事が
めずらしくなく、サンドスタチンを使用する患者さん
には同時に輸液の減量、ステロイドの併用等が行われて
いることが多いので、「本当にサンドスタチンの効果?」
という声も多かったのです
。そこで追試験が行われました。

複数の追試験の結果は、緩和ケアを専門にされている
医療者の方には御承知の通り、「有意差なし」、
「サンドスタチンで腹部疝痛が増えた」等の否定的な
報告が相次いだのです。代表的なものは聖隷三方原の
サイトでも紹介されています(続きは次回)

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