お迎え
まずは2012年8月放送のクローズアップ現代のページを
御紹介します。
なんだか私のブログ、クローズアップ現代の記事が多い
ですが別にNHKの回し者ではありません^^;
この番組は結構介護・看取りや死に関する特集が多いもので。
さて、実は過去にもブログでこの話題に触れたことが
あるのですが、本日は人が亡くなる直前に、とうに
亡くなった家族や友人が枕元に立つという、「お迎え」
現象についてです。諸外国でも同様の現象があるそうで、
確かに興味深いです。
クローズアップ現代にも出て来る、「看取り先生」こと
岡部 健(たけし)医師は、自宅で亡くなる患者さんの多く
が「お迎え」を経験している事に興味を持ち調査した結果
在宅では実に42%の方に、このお迎え現象が起こっていた
ということが分かりました。これに対して病院では同じ
体験をした患者さんはわずか5%だったという事です。
病院では薬物の影響などがあるのか、それとも周囲が
気付かないだけなのか。
更に岡部医師は、「お迎え」があった患者さんは安らかに
最期を迎えるのでは、という仮説のもと調査を続けました。
上記クローズアップ現代では、お迎えがあると9割の方が
安らかに最期を迎えたとありましたが、私が読んだ
『看取り先生の遺言』という本では「お迎えがあろうと
なかろうと80%を越える方の最期は穏やかだった」と
あります。私自身の実感としてもそうですが、在宅での
死の自然の経過で「8割程度は穏やかである」という記述は
良く見掛けます。すると「お迎え」が有意に「穏やかな最期」
率を上げているのかは不明です。
前に御紹介した「看取り士」柴田久美子さんも、
旅立ちの前に、とうに死んだ人が迎えに来る……。
こんな話は、私の中では当たり前のようになっています。
と書いておられ、実際に患者さんに「お迎えは来ましたか?」
と問い掛ける場面も出て来ます。柴田さんは、「お迎えは
必ず来る」とも書いておられます。
さて、私は医師という職業柄どうしても「超常現象」として
片付けるのには抵抗があります。似た経験として「せん妄」
があります。せん妄は幻視を伴う事が多いのですが、
「お迎え」の場合語る患者さんは比較的しっかりされていて
意識レベルが低下している、混乱しているという感じでも
ありません。
また、「お迎え」と呼ばれる現象が「死の間際」ではない
時に起こることも複数回経験しています。病院で亡くなった
「母が来た」と言った私の親族は、数年たった今でも健在です。
「それはお迎えではない」と言われればそうかもしれませんが
では何が違うのでしょうか?
根拠はないのですが、私は大きな苦しみや不安を経験した時に
人間の脳は過去の楽しい思い出や安心の記憶を呼び起こす
メカニズムがあるのではないかと思っています。だからこそ
「お迎え」は患者さんにとって恐怖ではなく、優しい安心する
記憶として残るのではないかと。そんな風に思っています。
もちろん、「お迎えはやはり両親や兄弟の霊である」という
考えが出来るならば、私はそれも素敵なことだと思っています。
それはきっと、残された家族の悲しみを和らげることにも
繋がると思うからです。