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Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

迫りくる「息子介護」の時代

本日は同名の本の紹介です。
本の帯に「介護なんて俺には他人事」と書いてある、
その横に移った男性の表情がほんとに「他人事」
っぽい感じでちょっと笑えました。


迫りくる「息子介護」の時代 28人の現場から (光文社新書)

迫りくる「息子介護」の時代 28人の現場から (光文社新書)

「息子介護」と聞いて、皆さんはどのようなイメージを持つ
でしょうか。本著でもくり返し述べられている通り、今でも
良し悪しは別として介護は「女性の仕事」と理解されている
事が多いと思います。そして、介護者による「虐待」の4割が
息子さんというデータ
もあり「介護離職」「介護離婚」など
危機的な状況をイメージ・連想される方もおられるかもしれ
ません。

しかし、本著の著者は介護福祉の専門家ではなく、社会心理
学の研究者であるということもあり、客観的な立場で「息子
介護者」を取材しレポートしています。つまり、介護者の
苦労は伝わってきますが、「息子介護」はこんなに大変なの
ですよ、と社会に報告するのがこの本の目的ではないという
ことです。裏テーマが、「男ゴゴロ、息子ゴゴロの心理学」
と著者も書いている通り、「男ってこうだよね」という男子
「あるある」を、介護を通して明らかにしています。
文献や過去の研究にも触れ、少々理屈っぽいですが、逆に
好きな方は楽しんで読むことが出来ると思います。

興味深いのは、「息子介護者」を支えているのは多くの場合
女性、妻・女友達・近所の女性等であり、しかし、逆に最も
衝突するのは「異性のきょうだい」が多い
こと。
男と女の介護に対する考え方の違いが衝突の原因になるの
ですが、さすが心理学者という切り口で書かれていました。

そして、やはり関心の集まる、「息子さんの母親に対する
身体介護(おむつ交換等)」について
や、「介護と仕事」
の問題、慣れない食事や片付け・洗濯等の家事につき、
実際の「息子介護者」がどのように考え向き合っている
のかも、意外な発見や納得があり面白かったです。

福祉の専門職の方には、心理学的な分析以外は面白くない
かもしれません。どちらかと言うと専門家や介護の当事者
よりも、「知人や友人の男性が介護をしている」あるいは
将来介護に携わるだろうと考えている一般の方向けの本
と言えるだろうと思います。まさに他人事ではない「親の
介護」を考える良い機会になると思います。