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Not doing but being

在宅緩和ケアの普及を目指して

内科医から見たユマニチュード

ユマニチュードはフランスのイブ・ジネストさん達に
よって考案・研究され、東京医療センターの本田医師ら
によって日本に紹介された、特に高齢者・認知症患者さん
に対して行う医療・介護者向けのメソッド(哲学・スキル)
のこと。

百聞は一見にしかず。ユマニチュードを御存知ない方は、
Youtube等の動画をご覧になると非常に良く分かると思います。

www.youtube.com


ユマニチュードには批判・反論もあります。多いのは、介護の
世界では既に当たり前の内容である、といった意見。しかし、
多くの人が「それ以上の何か」を感じて学ぼうとしているのも
また事実です。

私は介護の知識がないので、初めて知った時は余計に新鮮でした。
「見る」「話す」「触れる」「立つ」を柱とし、患者さんの
「人間らしさ」を取り戻すケア。一言で言うと確かに
当たり前の事を言っているに過ぎませんが、「患者
さんの脇や後ろから近付かない」、「ノックの重要性」、
「触れる順番はまず肩や背中」、「決して掴まない
引っ張らない」「20cmくらいの距離に近付く」等と
細かい指導があります。「ケアの準備」の時間を大切に
している
ところもとても印象的でした。

医師は医療を行うのだから、ユマニチュードはあまり関係が
ないという意見があるかもしれませんが、私は認知症の患者
さんであっても、自由や自律を尊重するという考えは賛成です。
ともすると我々は患者さんに「正しい事をしている」という
強い思いがあり、実行するためにはある程度無理やりでも
仕方ないという考えに陥りがちです
。ご家族ですらそうかも
しれません。しかし、無理やりな治療やケアは認知症の患者
さんに恐怖や不安を与え、長い目で見ると大きなマイナスに
なるかもしれません。BPSDの多くは患者さんの恐怖・不安から
出ている
と言われますし私もそう思います。身体抑制ゼロ・
抗精神病薬投与ゼロ等完璧に実施するのが難しくても、どうにか
患者さんの自主性、自律性、尊厳の回復を目指したいものです。

また、特に高度の認知症を有する患者さんに対して、ユマニ
チュードを知ってからは私自身患者さんの置かれている心理
状態を想像出来るようになり、気持ちに余裕を持って接する
ことが出来るようになりました。正直私も、高度な認知症の
方にはどう接して良いか分からない事が多かったように思い
ます。会話も難しいと思っていた患者さんから「ありがとう」
と思いがけずお礼を言って頂くこともありました。

どのようなメソッドも、長所もあれば欠点もあり、完全では
ないと思います。ですから宗教のように盲信するのは反対
です。「これまでの介護学」と「ユマニチュード」は決して
二者択一ではなく、ただ30年余りを経て作り上げられた様々
な考え方・ケアのテクニックやコツから学ぶべきところ、日々
のケア・診療に生かせるところがあれば取り入れていけば良い
のではないでしょうか。

ユマニチュード 優しさを伝えるケア技術 ‐認知症の人を理解するために‐ [DVD]

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ユマニチュード入門

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「ユマニチュード」という革命: なぜ、このケアで認知症高齢者と心が通うのか

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  • 作者: イヴ・ジネスト,ロゼット・マレスコッティ,本田美和子
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  • 発売日: 2016/08/03
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