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Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

終わらない抗がん剤治療

訪問診療・緩和ケア医として出会う患者さんの中には、病状が
進行し、およそ適切ではないと考えられる時期でも抗がん剤
治療が続いている事があります
。しかも、これはめずらしい事
ではありません。当初は効果が期待されたであろう抗がん剤も
患者さんの状態が悪くなると副作用ばかりが目立ち、抗がん剤の
ために、逆に命が縮んでいるのではないか、あるいは症状が少なく
良い時間になり得るはずの時間が副作用による苦しみの時間に
なっている
。そう感じる事がある医療者は私だけではないはず
です。この話題について、私が過去にブログで書いた記事の
リンクを以下に貼ります。

いつまで抗がん剤を続けるか
緩和ケア病棟24時:いつまで抗がん剤を続けるか - livedoor Blog(ブログ)

いつまで抗がん剤を続けるか②
緩和ケア病棟24時:いつまで抗がん剤を続けるか② - livedoor Blog(ブログ)

上記旧ブログの内容をまとめてお伝えすると、ダラダラと抗がん剤
が続いてしまう背景には、病状とEndpointの設定が開始時に
定まっていない
から。また患者さんの多くは「正確で合理的な
判断」が出来なくなっているから。解決策として、「オタワ
意思決定支援ガイド」というツールの使用を提案しています。

このブログでも触れて来たように、患者さんの心理状態は一般に
考えられているよりも深刻な状況にあると考えれます
。副作用の
情報が頭に残らず、とにかく治療を続けて下さい、と懇願する
患者さん、ご家族が多いのではないかと推測します。

もちろん患者さんには知らない権利があります。知らせたく
ないという家族の気持ちも分かります。しかし、よく分から
ないまま続けるには、抗がん剤はしばしば、あまりに
デメリットが多いです
。通常、スタンダードと考えられている
抗がん剤は効果が大きく副作用が小さいものが選択されます。
その薬が効かないとなると、次に選ばれる薬は効果か副作用
の面で劣っている場合が多いのです。

そうなると徐々にメリットが減りデメリットが増えてくる中で、
継続/中止の判断は本来は抗がん剤治療を行う医師の責任は重大
になります。しかし、ただでさえ多忙である治療医はひとり
ひとりに何度も説明をする、気持ちの揺れに寄り添い待つ、
という時間の余裕はないと思います。抗がん剤が終了する、
という事が何を意味するのか。それを告げることは治療医に
とっても言いだしにくい事も容易に想像出来ます。

するとここで、このような疑問が沸かないでしょうか?
中止を切り出せない治療医と、とにかく治療を希望する
患者さんやご家族にだけ任せていては、治療が終わらない
のも無理はない
。誰かが間に入って、医師の負担と患者
さんの理解を助ける事は出来ないのか。実はこの考えは
抗がん剤だけに限らず、胃ろうや様々な延命処置にも
同様に有用である可能性があります

ひとつの選択肢として、私は「医療コーディネーター」
のような仕事に可能性を感じます。治療決定に悩んだ
時、理解が十分に出来ない時に助けを求めることが
出来ます。もちろん、本当は訪問医や緩和ケア医と
治療医がフランクに話し合える連携体制を築ければ、
それも間違いなく患者さんの理解を助けることが
出来るのではないかと思っています。
なかなか難しいのですが…。

医療コーディネーター協会
日本医療コーディネーター協会|ALCP認定ライフケア・プラクティショナー 養成講座募集|医療・介護・資格

書籍案内
医療コーディネーターについて書かれた本です

患者中心の意思決定支援―納得して決めるためのケア

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