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Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

『末期がんは手をつくしてはいけない』

この本は前のブログでも紹介させて頂きましたが、ホスピス
に勤務されていた金重 哲三先生の著書です。絶版となって
いましたが、今回Amazonのkindle(電子書籍)でこの本が
販売されているのを発見しました。私は過去に金重先生から
書籍をPDFで頂いたのですが、その時の感謝も込めて、今回
改めて購入、読み返してみました。

末期ガンは手をつくしてはいけない

末期ガンは手をつくしてはいけない


「理想の死」は偶然に訪れることはなく、覚悟と感謝がなければ
良い最期を迎えることは難しい
。結局のところ、「ほとんど患者
さんを苦しめるだけに終わる」医療にすがった結果、患者さんの
成長と感謝の機会が奪われ、絶望と怒りの中で死を迎えることに
なる
。金重先生の考えは同じくホスピス医であった私にはとても
良く理解出来ますし、多くの医療者もそう感じるのではないで
しょうか。

しかし、金重先生の意見は尤もであると同時に、厳しい。がんの
終末期にある患者さんに「これでもか」と正論を突き付けるのは
どうなんだろう。みんなが強い訳ではなく、病状を受け入れ
られる訳ではないのではないと思います。確かに、患者さんが
病状を「受容」し、感謝して亡くなるのであればそれに越した
事はありません。ただ、こんな聖人のような亡くなり方を暗に
要求されるのは、患者さんにとって辛いかもしれないなぁ、と
私は思ってしまいます。

だいたい、「受容」って全員に必要なんでしょうか?

昨日のブログでも、「余命告知」を「受容」出来た方は少数で
あった、という話をしました。これらの受容出来ない患者さん
に対して、「何が何でも分からせようとする」のではなく、
「希望するから」とガイドラインに沿って抗がん剤をただ
使って行くのでもなく、それぞれの患者さんに何がベストかを
常に共に悩み続ける姿こそ、Beingであり私の理想の医療者の
あるべき姿なのです

話が著しく脱線ましたが、この本は患者さん御本人よりもむしろ
御家族に読み、理解して頂きたい本です。「家族の気持ち」を
優先し、そのために御本人が苦しみ続けることは、やはり違う
と思います。そして、出来れば御自身も御家族も病気ではない
段階で、本書のような考えを(全て賛同するかどうかは別としても)
知って頂くことは将来医療を受ける上で間違いなく選択肢が
拡がるのではないかと思っています