Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

余命告知が患者さんに与える影響

本日は「余命告知」について。今日のお話は、2015年11月
に『Journal of Clinical Oncology』という雑誌に載った
以下の論文に沿ってお話をさせて頂きます。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4737862/

この文献は非常に有難いことに右上のPDFを選ぶと、無料で
フルテキストがPDFファイルのかたちで読むことが出来ます。

さて、まず「余命」と言っても医者はエスパーではないので
厳密には「生存期間中央値(MST)」のことで、例えば
「余命6か月」と言われても6か月の時点で半分の方は
生存している訳です。なんとなく6ケ月でみんな
亡くなってしまうという意味に捉えている方も多いようなので。

この調査は590人の進行がん患者さんに対するコホート
研究です(結果的に平均生存期間は5.4ヵ月)。

まず、驚いたのは患者さんの7割超が余命告知を望んでいた
にも関わらず、 調査の際に余命についての説明を覚えていた
患者さんはわずか17.6%だった
という事です
。覚えていても
話せなかった?のかどうかは定かではありませんが…。

また、余命について考えている患者さんは極めて楽観的で、
ほぼ半数が実際よりも2年以上長く、29%が5年以上長く
考えていたそうです
。この傾向は、当然ですが余命告知を
希望しなかった人達で顕著でした。

この調査で、余命告知を覚えていた人達について、まず
生存期間には差がありませんでした。次に、生存期間に
ついて実際とのズレが少なく(告知前と比べ平均で
17ヵ月余命を短く考えるようになった)、心理テストや
アンケートを用いた調査では悲観、不安のスコアに差は
なく、医師との関係の悪化もありませんでした
。患者さん
余命延長よりも緩和に関する治療を選択する傾向があり、
心肺蘇生の希望も減りました(DNRは2.5倍)

確かに余命告知が大きなマイナスがなく、患者さんはより
現実的で適切な判断が出来た、とここからは読めます。
しかし一方で、余命告知を希望しない、あるいは告げられ
たが覚えていない患者さんもたくさんいらっしゃる
事も
また、ここから読み取れることを忘れてはいけません。