Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

看取り

「一番苦しいのは本人」ですか?

がんの末期に限ったことではありませんが、介護している家族 に向かって「あなたも大変だと思うけれど、御本人の方が辛いの ですよ」等と声がかかることがあります。これは間違っていると 思います。もちろん、痛みや呼吸苦、嘔気などの身体的な苦痛を 感じ…

「死の受容」に対する疑問(2)

昨日の続きになります。kotaro-kanwa.hateblo.jp昨日のブログでは、西先生のブログ記事、「患者さんは死を 受け入れられるのかどうか」を紹介させて頂きました。 そして我が国のホスピスがキュブラー・ロスの影響を強く 受け、まるで「死の受容」に至ること…

「死の受容」に対する疑問(1)

3月28日、川崎市立井田病院の西先生がこんなブログを書いて おられました。www.buzzfeed.comTwitterでも散々絶賛したのですが、私がこの仕事をしながら 長年感じていたことを、とてもやさしくスマートにまとめて おり、さすが西先生だなぁと思いました。テー…

ホスピス医を目指す私が言われた言葉

医師になる前から緩和ケアに興味があった私は、がんという 病気を学ぶために消化器内科が良いと考え入局しました。 消化器は、食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、 胆嚢・胆管がんなど悪性疾患の患者さんが多いのが理由です。 しかし、医局の…

『痛い在宅医』

2017年12月に出た、長尾和宏先生の著書。 在宅療養を、特に看取りを考えている御家族に必須の本 ではないかと思います。痛い在宅医作者: 長尾和宏出版社/メーカー: ブックマン社発売日: 2017/12/21メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見…

スパゲティ症候群とクオリティ・オブ・デス

「ピンピンコロリが良い」「眠るように死にたい」と多くの 方がおっしゃいます。しかし「ピンピンコロリ」で死を迎える ことが出来る人は5%に過ぎない、と在宅医の長尾 和宏先生は おっしゃっています。「スパゲティ症候群」という言葉を御存知でしょうか。…

「どちらが、本人がより幸福か」という軸

胃瘻造設に当たり、多くの患者さんは自分の意思を表現 出来る状態にないため、家族が決断を迫られることが しばしばあります。「延命」か「実質的な患者の死」を 限られた時間の中で決断しなければならない苦悩は 計り知れないものがあります。また、少し異…

終末期の輸液

本日は『いまいホームケアクリニック』さんのこちらの記事 から。imai-hcc.com書いてある内容は、私個人は全く賛成です。 ただ、少し自分の意見を加え、書かせて頂こうと思います。少しずつ衰弱された患者さんが、口から水分を摂れなく なった場合、多く余命…

VSEDに対する私見

新城先生が書かれた、VSED (voluntary stopping eating and drinking) に関する記事が、Twitterで話題になっていました。headlines.yahoo.co.jpVSEDとは患者さんが自ら飲食を止めることによって死期を早める 行為を指します。上記の記事では、新城先生が10年…

曖昧に始まるセデーションは是か非か

今回は終末期鎮静についての、医療者向けの内容になります。 「セデーションって何?」という方には理解しにくい内容と なりますので御了承下さい。御承知の通り、終末期鎮静(特にcontinuous deep sedation、 以下CDS)はガイドラインでかなり慎重に選択す…

顔の見える連携(関係)

在宅医療はクリニックだけでは成立しません。ケアマネージャー と訪問看護師、時に介護士やデイサービスとの情報交換も大切に なります。もちろん、病院とクリニックの連携も重要になります。 ですので、いかに良好な連携を組めるかが重要になり、 しばしば…

『安楽死で死なせて下さい』

あまり気持ちの余裕がなく、少し更新が滞っておりました。 今日は『おしん』『渡る世間は鬼ばかり』等で有名な 橋田 壽賀子さんが書いた本の紹介をさせて頂きます。安楽死で死なせて下さい (文春新書)作者: 橋田壽賀子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2017…

平穏死ー患者は本当に苦しんでいないのか

長尾和宏先生のブログにこんな記事がありました。blog.drnagao.com長尾先生は在宅医療の一線で活躍されている先生です。 たくさんの本を書かれ、あちこちで講演を行うなど 在宅医療普及に向けた活動も精力的に行っておられます。 胃瘻の本などはとても良く書…

『がんと命の道しるべ』

がんと命の道しるべ 余命宣告の向こう側作者: 新城拓也出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2017/07/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見る素晴らしい本です。多くの患者さんとその御家族、そして さまざまな場所で緩和ケアに従事しているスタッフ、…

延命治療を強いるのは50代息子が多い

diamond.jp看取りの場で、「救急車を呼べ!生き返らせろ!」と叫ぶ息子。 そんな場面からこの記事は始まります。80代、末期がんの親。 望まない経鼻栄養を強いただけでもどうかと思うところです。 傾向としては、お嫁さん任せで、なかなか介護にコミット し…

「自宅で最期」が意味するもの

昨日に引き続き、新城先生のブログからお話をさせて頂きます。drpolan.cocolog-nifty.com また、自宅で過ごして私のような在宅医が治療やケアを行って いても、本当に家で亡くなりたいと本心から思っている人は 全体の3割です。ということは、残りの7割の患者は…

高齢者の誤嚥と訴訟を考える(2)

前回の更新からだいぶ時間が空いてしまいました。 今日は前回に引き続き、高齢者の誤嚥の問題を考えたいと 思います。さて、まず医療者、介護者にはだいたい常識的にお分かり だと思いますが、『要介護者』に当たる高齢の方々は、 どんな原因で亡くなってい…

がんと闘う

『闘病』という言葉があります。 がんの場合狭義には手術・放射線療法・化学療法 (いわゆる三大治療)などがんの治癒や延命効果を 期待した積極的な治療を受けることを指す場合もあり ますが、もっと広い概念で『病と対峙し生きる』 ことを指すこともあるか…

末期がん患者さんの吐下血

報告によりまちまちではありますが、末期がんの患者さんの 1~5%に顕著な吐下血が起こると言われています。特に吐血 は御本人にとっても死を強く連想する恐ろしい出来事だと 思います。この場合医療者は、家族はどのような対処をすべき でしょうか。まず、…

目的と手段を入れ替えてはいけない

Twitterで見た、ある薬剤師さんのツイートを御紹介します。 在宅医療の主語は誰か? 他ならぬ患者さんである医療従事者が訪問するから在宅医療なのではなく、 患者さんが自宅で暮らしながら受ける医療が在宅医療なんだと思うだからこそ、訪問は手段なんだと…

『100点中10点』に思う

6月24日のm3(エムスリー)に、めぐみ在宅クリニック院長、 小澤竹俊先生のインタビューが載っていました。ホスピスを 経験し、現在は訪問診療医として多くの患者さんと関わり、 たくさんの方を看取って来られた先生です。診療体制に ついてのお話のあと、こ…

死に目に会う

小林 麻央さんの旅立ちがニュースになっていました。 私は芸能界に疎いのですが御夫婦の姿をネットで度々 拝見し、子を持つ親としても穏やかで優しい時間が 過ごせることを願わずにはいられませんでした。 海老蔵さんは麻央さんが亡くなる瞬間に 立ち会えた…

点滴に代わるもの

初めにお断りしますが、本日のエントリーはかなり 主観が入ります。終末期の医療に対する、私の個人的 な考えと御承知の上、お読み頂ければと思っています。ここ数日、末期がんの患者さんの看取り前の体調変化と 輸液についてお話をして来ました。正確な予測…

終末期に点滴をしないで苦しくないのか

少し前の記事ですが、yomiDr.にこんな記事がありました。yomidr.yomiuri.co.jpタイトルを読んで、多くの医療者はキョトンとするかも しれません。点滴をしないと苦しむ?…誰が?家族…?と いうのが私の最初の反応でした。しかし、医療従事者ではない、看取っ…

がん終末期の輸液について

昨日は、残された時間のがん患者さんに現れる身体的 な変化について簡単にお話しました。患者さんの食事 や移動能力、眠る時間等がどれくらいの速度で変化して いるか。また時にはがんがCT等でどれくらいの速さで 大きくなっているか、採血の結果はどうか…

がん終末期の症状について

がんも種類によって経過が違いますが、多くの患者さんで 当てはまることは、最後の2~3か月からの病状の変化は とても速いということです。分かりやすい変化としては、・食事が極端に少なくなる。 ・移動が大変になる。 ・眠る時間が増える。等の症状の変化…

終末期の在宅酸素使用は保険適応外

先週末、私がTwitterで取り上げた話題です。 多くの方に知って頂いた方が良い内容なのでブログでも お話させて頂こうと思います。まず、6月15日の記事にも書きましたが、終末期医療は 患者さんの苦痛を取り除くために行う医療には保険適応 外のものが多く、…

「臨床宗教師」

我が国では、医療と宗教は相容れない存在である かのように扱われています。 山崎章郎さんが東北大学医学部で講義されたことが あって、それを聞きに行った時のことだ。宗教性の 重要性を話し始めた途端、学生たちはうすら笑いを 浮かべていた。なんとも異様…

お迎え

まずは2012年8月放送のクローズアップ現代のページを 御紹介します。www.nhk.or.jpなんだか私のブログ、クローズアップ現代の記事が多い ですが別にNHKの回し者ではありません^^; この番組は結構介護・看取りや死に関する特集が多いもので。さて、実は過…

遠方に住む家族

医療者にとって、最も苦手な存在のひとつが、患者さんの 体調が悪くなった時に初めて現れる、「遠方に住む家族」 ではないでしょうか。普通我々は患者さんの近くで実質 患者さんを支えている中心人物をキーパーソンと呼びます。 体調が悪い患者さんに代わり…