Not doing but being

東京都大田区で開業している訪問診療医のブログ。主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

書籍紹介

『いのちの停車場』

5月から上映が始まった、『いのちの停車場』。 訪問診療を題材にした映画です。 残念ながら都内では「緊急事態宣言」延長の ため観ることが出来ません。 俳優陣がとても豪華で良さそうなのですが 他県に行く時間もなく、私は小説を読むこと にしました。いの…

患者さんの「死にたい」という言葉

今日は、こまち先生のブログを読んで考えたことを書きます。ameblo.jpまずブログがとても良いので是非お読みください。私は訪問診療を行っていますので、がんの終末期の患者さん や、介護を受けている高齢者の患者さんと出会い、話をする ことが多いのですが…

『男の孤独死』

本日は、長尾和宏先生の著書の紹介です。 お断りしておくと新刊ではありません。2017年のちょうど 今頃に出版されたものです。買っておいてすっかり読む のを忘れておりました。 男の孤独死作者:長尾 和宏発売日: 2017/12/21メディア: 単行本(ソフトカバー…

『がんになった緩和ケア医が語る「残り2年」の生き方、考え方』

この秋に出版された、緩和ケア医 関本 剛先生の著書です。 タイトル通り、肺がん脳転移、治癒は見込めず、 生存期間の中央値は2年と。 少し前に購入してしましたが、同じ世代の緩和ケア医、 開業医であり訪問診療も行っている先生ということもあり なかなか…

『死亡直前と看取りのエビデンス』

今日は久し振りの本の紹介です。全く新刊ではないです。 過去にTwitterでも紹介したように記憶しています。 既に読まれたという方も多いかもしれませんが、まだ の方は是非お勧めしたい本になります。死亡直前と看取りのエビデンス作者:森田 達也発売日: 201…

『だから、もう眠らせてほしい』

だから、もう眠らせてほしい 安楽死と緩和ケアを巡る、私たちの物語作者:智弘, 西発売日: 2020/07/14メディア: 単行本緩和ケア医、西智弘先生が「安楽死を受けたい」 と訴える二人の患者さんを通し、安楽死について 考えていく内容。 途中、多発性骨髄腫を発…

居場所

CDブック 発達障害のピアニストからの手紙 どうして、まわりとうまくいかないの?作者: 野田あすか,野田福徳・恭子出版社/メーカー: アスコム発売日: 2015/05/22メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る私は普段殆どテレビを観ないのです…

『在宅無限大』

在宅無限大: 訪問看護師がみた生と死 (シリーズ ケアをひらく)作者: 村上靖彦出版社/メーカー: 医学書院発売日: 2018/12/25メディア: 単行本この商品を含むブログを見る年末年始に読んだ本のひとつでしたが、 なかなか興味深い内容でした。 著者の村上靖彦さ…

『今日から第二の患者さん』

最近登録したnoteを見ていて青鹿さんの記事が目にとまり ました。note.muこれ、なんですが。私は医師になってこの方、ずっと疑問視、 問題視していたテーマだったので、漫画もすぐに購入させて 頂きました。「第二の患者さん」は、病気の患者さんの御家族の …

「美しい心」と言ってくれた

Twitterでお世話になっている、海月要さんの書いた小説です。 表題作の『「美しい心」と言ってくれた~地下にある死者の施設』 のほか、4作品が納められた短編集になっています。海月さんは 老人施設の看護師をされていますが、その日常の体験をもとに 描か…

『母親に、死んで欲しい』

将来介護をする、受ける人になる可能性は、とても高いと 思います。特に家族に介護する/される人にとって、是非 一度は読み、考えて頂きたい本だと思います。「母親に、死んで欲しい」: 介護殺人・当事者たちの告白作者: NHKスペシャル取材班出版社/メーカー…

『1000の夜を駆ける: ーわたしは統合失調症』

本日は本の紹介です。統合失調症を発症された著者 『しらたま』さんが、これまでの経験や想いを綴った漫画です。 これは2012年に描かれた作品ですが、AmazonのKindle Unlimitedに 登場したのを発見し読ませて頂きました。1000の夜を駆ける: ーわたしは統…

『私の脳で起こったこと』

私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活作者: 樋口 直美出版社/メーカー: ブックマン社発売日: 2015/07/10メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見る本の存在は知っており、以前から読みたいと思いながら 読んでいなか…

糖尿なのに脂質(あぶら)が主因!

糖尿なのに脂質(あぶら)が主因!―糖尿病とその合併症予防の脂質栄養ガイドライン作者: 奥山治美出版社/メーカー: クオリティケア発売日: 2017/08/01メディア: 単行本この商品を含むブログを見る2017年8月に、“あの”日本脂質栄養学会から出た本です。 主な内容…

『ニルスの国の認知症ケア』

ニルスの国の認知症ケア―医療から暮らしに転換したスウェーデン作者: 藤原瑠美出版社/メーカー: ドメス出版発売日: 2013/08メディア: 単行本この商品を含むブログを見るはじめにお断りしておきますが、2013年出版の本です。 内容に感銘を受けたので紹介させ…

『カロリー制限の大罪』

まず、私自身の糖質制限の報告です。2017年5月より、正確に お書きするとまずカロリー制限で開始し、7月よりロカボ (以下参照)に切り替え、ここ1~2ヵ月はだいたい9kg減 で落ち着いています。だいたいとお書きしたのは、測定する タイミングで随分体重が異…

ケトン食ががんを消す

更新が空いてしまいました。 今日は2016年に出版された、こんな本の話題を。ケトン食ががんを消す (光文社新書)作者: 古川健司出版社/メーカー: 光文社発売日: 2016/10/18メディア: 新書この商品を含むブログを見る『がんが消えた系』の本は大半インチキだと…

うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった

非常に面白い本だったので御紹介します。うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった (光文社新書)作者: 藤川徳美出版社/メーカー: 光文社発売日: 2017/07/19メディア: 新書この商品を含むブログを見る私がいつも勉強させて頂いているひらやま脳神経外科 のブロ…

「なんとめでたいご臨終」で私が感じた違和感

なんとめでたいご臨終作者: 小笠原文雄出版社/メーカー: 小学館発売日: 2017/06/21メディア: 単行本この商品を含むブログを見る昨日、この本の紹介をさせて頂きましたが、本日は その続きです。書籍の主旨には賛同しますし、決して ケチを付ける目的ではあり…

なんとめでたいご臨終

なんとめでたいご臨終作者: 小笠原文雄出版社/メーカー: 小学館発売日: 2017/06/21メディア: 単行本この商品を含むブログを見る在宅医、小笠原文雄先生の著書。 すごい売れ行きでAmazonでは早々に品切れになって いました。もうすぐ重版が出るようですが、私…

医療と祈り

宗教と医療は一見、相容れないものという印象が あります。医療は科学であり、根拠・裏付けが はっきりしいているのに対して、宗教の本質は 究極的には「信じる」ことであって、根拠が明確 なものを信用することは「信仰」とは言いません。また、「エホバの…

「誤診だらけの認知症」

誤診だらけの認知症作者: 座間清出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2016/11/24メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る御自身の親族が誤診から体調を崩された事が 切っ掛けで認知症診療に携わるようになった 座間清先生が、現在の認知症に…

「うちのセンセイ」

ブログを始めて2ヵ月が経ちました。 なかなか長続きせず、油断すると更新しなくなって しまうタチなので、今回は敢えてはてなProという 有料のブログに挑戦しています。 さすがにこの週末から数日間は多忙で書けなかった ものの、有料がプレッシャーになり更…

緩和ケア医とDr.キリコ

手塚治虫先生の代表作『ブラックジャク』にDr.キリコ という医師が登場するのですが、御存知でしょうか? 助からない患者さんを「法に触れない方法(!)で」 安楽死に導く、という仕事をしています。ブラック ジャックでは準レギュラー的存在で、全部で9回…

「治さなくてよい認知症」

本日は書籍の紹介です。治さなくてよい認知症作者: 上田諭出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2014/04/28メディア: 単行本この商品を含むブログを見る老年期精神医学の専門家である著者が、今の認知症医療 の問題点、疑問点を取り上げた一般向けに書かれた…

終わらない抗がん剤治療

訪問診療・緩和ケア医として出会う患者さんの中には、病状が 進行し、およそ適切ではないと考えられる時期でも抗がん剤 治療が続いている事があります。しかも、これはめずらしい事 ではありません。当初は効果が期待されたであろう抗がん剤も 患者さんの状…

『末期がんは手をつくしてはいけない』

この本は前のブログでも紹介させて頂きましたが、ホスピス に勤務されていた金重 哲三先生の著書です。絶版となって いましたが、今回Amazonのkindle(電子書籍)でこの本が 販売されているのを発見しました。私は過去に金重先生から 書籍をPDFで頂いたので…

お一人様の在宅死(2)

昨日の続きです。具体的に在宅死にはどのような考えが必要か まとめてみたいと思います。1.出来る限りの準備をすること まず、我が国で「良い死」が偶然やって来ることはとても 少ないとお考え下さい。出来れば元気で余裕がある時に、 最低限以下を読み、特…