Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

医療者向け

『ニルスの国の認知症ケア』

ニルスの国の認知症ケア―医療から暮らしに転換したスウェーデン作者: 藤原瑠美出版社/メーカー: ドメス出版発売日: 2013/08メディア: 単行本この商品を含むブログを見るはじめにお断りしておきますが、2013年出版の本です。 内容に感銘を受けたので紹介させ…

『がんと命の道しるべ』

がんと命の道しるべ 余命宣告の向こう側作者: 新城拓也出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2017/07/24メディア: 単行本この商品を含むブログを見る素晴らしい本です。多くの患者さんとその御家族、そして さまざまな場所で緩和ケアに従事しているスタッフ、…

『カロリー制限の大罪』

まず、私自身の糖質制限の報告です。2017年5月より、正確に お書きするとまずカロリー制限で開始し、7月よりロカボ (以下参照)に切り替え、ここ1~2ヵ月はだいたい9kg減 で落ち着いています。だいたいとお書きしたのは、測定する タイミングで随分体重が異…

希望

川崎市立井田病院の、西先生のブログの記事から。tonishi0610.blogspot.jp西先生は緩和ケアを専門にされているという理由もありますが、 とても私と考えが近く、「本当にそうだよなぁ」と思うことが 多くあります。大学の同期が以前西先生と同じ病院に勤めて…

「自宅で最期」が意味するもの

昨日に引き続き、新城先生のブログからお話をさせて頂きます。drpolan.cocolog-nifty.com また、自宅で過ごして私のような在宅医が治療やケアを行って いても、本当に家で亡くなりたいと本心から思っている人は 全体の3割です。ということは、残りの7割の患者は…

高齢者の誤嚥と訴訟を考える(2)

前回の更新からだいぶ時間が空いてしまいました。 今日は前回に引き続き、高齢者の誤嚥の問題を考えたいと 思います。さて、まず医療者、介護者にはだいたい常識的にお分かり だと思いますが、『要介護者』に当たる高齢の方々は、 どんな原因で亡くなってい…

ナルサスとナルラピド+α

自分自身の糖質制限の勉強で更新が滞ってしまいました。 特に興味があるのはがん栄養療法としてのケトン食の 効果です。まだまだブログに書かせて頂くほどの知識 も経験もありませんが…。さて本日は、新しく我が国で使用出来るようになった 強オピオイド、ヒ…

うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった

非常に面白い本だったので御紹介します。うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった (光文社新書)作者: 藤川徳美出版社/メーカー: 光文社発売日: 2017/07/19メディア: 新書この商品を含むブログを見る私がいつも勉強させて頂いているひらやま脳神経外科 のブロ…

身体拘束は減らせるか

高齢者への身体拘束とは、施設や病院などで、認知症などの 高齢者を、「治療のじゃまになる行動がある」、あるいは 「事故の危険性がある」という理由で、ひもや抑制帯、ミトン などの道具を使用して、ベッドや車椅子に縛ったりすること をいいます。部屋に…

「なんとめでたいご臨終」で私が感じた違和感

なんとめでたいご臨終作者: 小笠原文雄出版社/メーカー: 小学館発売日: 2017/06/21メディア: 単行本この商品を含むブログを見る昨日、この本の紹介をさせて頂きましたが、本日は その続きです。書籍の主旨には賛同しますし、決して ケチを付ける目的ではあり…

がんの告知と自殺率

がん全体の5年生存率は上がっており、50%になると言われ ますが、依然がんは死の病のイメージが強く診断後自殺して しまう方が多いと問題視されています。まず、私の過去の記事を御紹介します。blog.goo.ne.jpこちらで私はニューイングランドジャーナルオブ…

末期がん患者さんの吐下血

報告によりまちまちではありますが、末期がんの患者さんの 1~5%に顕著な吐下血が起こると言われています。特に吐血 は御本人にとっても死を強く連想する恐ろしい出来事だと 思います。この場合医療者は、家族はどのような対処をすべき でしょうか。まず、…

目的と手段を入れ替えてはいけない

Twitterで見た、ある薬剤師さんのツイートを御紹介します。 在宅医療の主語は誰か? 他ならぬ患者さんである医療従事者が訪問するから在宅医療なのではなく、 患者さんが自宅で暮らしながら受ける医療が在宅医療なんだと思うだからこそ、訪問は手段なんだと…

認知症~家族介護の難しさ

私は今グループホームや老人ホームへの訪問診療は 行っておらず、訪問しているのは全て患者さんの自宅 です。独居の方も多いですが、大半は御家族が同居し 介護されています。つくづく思うのは家族介護は家族ならではの難しさを 持っており、しばしば非常に…

『100点中10点』に思う

6月24日のm3(エムスリー)に、めぐみ在宅クリニック院長、 小澤竹俊先生のインタビューが載っていました。ホスピスを 経験し、現在は訪問診療医として多くの患者さんと関わり、 たくさんの方を看取って来られた先生です。診療体制に ついてのお話のあと、こ…

在宅緩和医療、保険適応外の壁

2017年6月7日の、薬事日報の記事です。 とても大きな問題だと思うので紹介させて頂きます。www.qlifepro.com緩和ケア領域の薬剤は保険適応外処方が多く、病院から 在宅へのスムーズな以降に支障を来たす例があるという内容。 長野県の医師を対象としたアンケ…

BPSDに対する抗精神病薬の使用と中止(3)

今回は、BPSDに使用した抗精神病薬の減量と中止について の話をしたいと思います。こちらのメタアナリシスを参考 にさせて頂きます。www.ncbi.nlm.nih.gov上記はシステマティックレビューを含む9つの研究を分析 しています。どれもRCTであり、プラセボとの比…

BPSDに対する抗精神病薬の使用と中止(2)

本日は抗精神病薬の中止に関する話題にする予定でしたが、 その前に薬の効果判定についてもお話したいと思います。 治療の目的を考えると介護者の主観で「効いた」とか 「効かなかった」でも良いと思うのですが、ある薬剤が 患者さんの症状のどの部分に効い…

BPSDに対する抗精神病薬の使用と中止(1)

認知症患者さんの暴言・暴力・介護抵抗・徘徊等周辺症状 と言いますが、周辺症状をBehavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの頭文字をとってBPSDと呼びます。 介護する側にとってしばしば大きな悩みをもたらし、 介護の継続が困難となる主たる原…

タペンタが使いにくい理由

平成26年8月18日に発売されたタペンタドール、商品名 「タペンタ」ですが、オピオイドのμ受容体を刺激する 作用と、ノルアドレナリン再取り込み阻害を合わせ持つ 薬剤です。オピオイド作用+SNRIと言えば分かりやすい かもしれません。オピオイド作用+下降…

医療者目線の「死の受容」

昨日は、近年ギア・チェンジという言葉が使われなくなった という話と、しかし実際は殆どの患者さんがギア・チェンジ を経験しているという事実があるというお話をさせて頂き ました。本日はギア・チェンジに関する話題で、 緩和ケア医として有名な有賀先生…

がん治療の「ギア・チェンジ」は過去の言葉か

我が国に「Palliative Care」の概念が入って来た時に、 「ホスピス」という「建物」や、ホスピスに 入院する時期である「終末期」という点が強調され 過ぎてしまいました。そこで、「Palliative Care」 は何もホスピスという場に限ったことではない、 また終…

終末期のリハビリテーション

最近愛読している、終末期・緩和ケア専門のリハビリを 行う理学療法士・藤田さんのブログの記事です。kanwakea-fujita.hatenablog.com毎回興味深いテーマをするどい視点で書いておられる のですが、読者登録が少なくもっと多くの方に読んで 頂ければ良いのに…

「誤診だらけの認知症」

誤診だらけの認知症作者: 座間清出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2016/11/24メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る御自身の親族が誤診から体調を崩された事が 切っ掛けで認知症診療に携わるようになった 座間清先生が、現在の認知症に…

ブプレノルフィン(レペタン)

本日の内容は医療者向けになります。 長尾和宏先生の町医者日記の記事から。blog.drnagao.com簡単に内容をまとめると、ブプレノルフィンには色々 な長所がありもっと見直されて良いのではないか という内容。ブプレノルフィンはオピオイドのパーシャルアゴニ…

がん代替療法、医師の態度

本日は最近読んだ朱郷 慶彦さんのブログを紹介します。 朱郷さんは小説や脚本を手掛けるライターですが、 2015年11月に末期がんの宣告を受けています。 ブログの記事は、 朱郷さんが代替医療の話に触れた 途端、読者からの批判が相次いだ、という内容です。g…

胃瘻が減って、経鼻が増えた!?

文春オンラインより。bunshun.jp 2010年、自然に任せて穏やかな最期を迎える「平穏死」 を提言してから6年が経ちました。その間、終末期医療の 現場は大きく変わりました。中でも特筆すべきは、胃ろう で栄養補給をしている認知症高齢者が、56万人から20万人…

「臨床宗教師」

我が国では、医療と宗教は相容れない存在である かのように扱われています。 山崎章郎さんが東北大学医学部で講義されたことが あって、それを聞きに行った時のことだ。宗教性の 重要性を話し始めた途端、学生たちはうすら笑いを 浮かべていた。なんとも異様…

川崎市立井田病院の取り組み

昨日もお書きした通り、がんの治療中の患者さんも 痛みや嘔気、四肢の痺れや不安、不眠等様々な症状 に悩まされている方がおられます。しかし治療中の 患者さんの多くは満足な症状緩和治療を受けていません。 一方緩和ケア外来は、「緩和ケア病棟」に登録す…

「早期からの緩和ケア」は実践出来るのか?

がんの終末期の患者さんの苦痛を軽減する目的で行われて 来た「ターミナルケア」は、より早期の患者さんに対して も必要なケアであるという理解が深まり、「緩和ケア」と 呼び名が変わりました。しかし多くの患者さんは、いえ、 医療者ですら「緩和ケア」=…