Not doing but being

主に緩和ケア、認知症、訪問診療、介護、看取り分野の話題です

医療者向け

フェントスのeラーニングを終えて

フェントステープは医療用麻薬、フェンタニルのパッチ 製剤です。フェンタニルパッチにはほかにデュロテップ MTパッチ(ワンデュロ)がありますが、個人的に使い 慣れているフェントスでeラーニングを受けました。eラーニングのeはelectronicの頭文字です…

命の重み

私がレジデントの頃の話です。 病院かかりつけの患者さんが窒息で救急救命センターに 搬送されました。一命を取りとめましたが食事も会話も 出来ず、胃瘻に。また、もともと透析をするかどうか ギリギリの方でしたが、救命後は透析も必要となりました。 経過…

『母親に、死んで欲しい』

将来介護をする、受ける人になる可能性は、とても高いと 思います。特に家族に介護する/される人にとって、是非 一度は読み、考えて頂きたい本だと思います。「母親に、死んで欲しい」: 介護殺人・当事者たちの告白作者: NHKスペシャル取材班出版社/メーカー…

「一番苦しいのは本人」ですか?

がんの末期に限ったことではありませんが、介護している家族 に向かって「あなたも大変だと思うけれど、御本人の方が辛いの ですよ」等と声がかかることがあります。これは間違っていると 思います。もちろん、痛みや呼吸苦、嘔気などの身体的な苦痛を 感じ…

「死の受容」に対する疑問(2)

昨日の続きになります。kotaro-kanwa.hateblo.jp昨日のブログでは、西先生のブログ記事、「患者さんは死を 受け入れられるのかどうか」を紹介させて頂きました。 そして我が国のホスピスがキュブラー・ロスの影響を強く 受け、まるで「死の受容」に至ること…

「死の受容」に対する疑問(1)

3月28日、川崎市立井田病院の西先生がこんなブログを書いて おられました。www.buzzfeed.comTwitterでも散々絶賛したのですが、私がこの仕事をしながら 長年感じていたことを、とてもやさしくスマートにまとめて おり、さすが西先生だなぁと思いました。テー…

『1000の夜を駆ける: ーわたしは統合失調症』

本日は本の紹介です。統合失調症を発症された著者 『しらたま』さんが、これまでの経験や想いを綴った漫画です。 これは2012年に描かれた作品ですが、AmazonのKindle Unlimitedに 登場したのを発見し読ませて頂きました。1000の夜を駆ける: ーわたしは統…

ホスピス医を目指す私が言われた言葉

医師になる前から緩和ケアに興味があった私は、がんという 病気を学ぶために消化器内科が良いと考え入局しました。 消化器は、食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、膵臓がん、 胆嚢・胆管がんなど悪性疾患の患者さんが多いのが理由です。 しかし、医局の…

介護職員への暴力を黙認すべきではない

高齢者や認知症の患者さんは、心身ともに衰えた「弱者」 であり、その人権が侵され易いため、これを守ることが 大切であるとしばしば指摘されます。これはその通りです。しかし同時に介護・支援する側の家族や介護職員・看護師の 人権を尊重すべきだ、という…

寄り添うことは悩むこと

2017年3月14日に開始したこのブログですが、明日で 1年を迎えることになります。敢えて有料のブログを選んだ ことで、「書かないともったいない」ような気分になり、 結果として私にしては頻繁に記事を更新出来たのではないか と思います(笑)。ブログを書…

「それでも良いですよ」~私の考える良い在宅医

いつも参考にさせて頂いている、いまいホームケアクリニック の今井先生のブログ記事から。「在宅医に求められる資質」に ついてのお話です。imai-hcc.com私も全く賛成です。在宅医に求められる資質は、病院医とは 少し異なります。いえ、究極的には人間とし…

『痛い在宅医』

2017年12月に出た、長尾和宏先生の著書。 在宅療養を、特に看取りを考えている御家族に必須の本 ではないかと思います。痛い在宅医作者: 長尾和宏出版社/メーカー: ブックマン社発売日: 2017/12/21メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログを見…

スパゲティ症候群とクオリティ・オブ・デス

「ピンピンコロリが良い」「眠るように死にたい」と多くの 方がおっしゃいます。しかし「ピンピンコロリ」で死を迎える ことが出来る人は5%に過ぎない、と在宅医の長尾 和宏先生は おっしゃっています。「スパゲティ症候群」という言葉を御存知でしょうか。…

オンライン診療の可能性

医療関係者の方は既にご存知の通り、今回の報酬改定から オンライン診療にルール付けと保険点数が設置されました。 ただ、定められた点数は非常に微々たるもので、手間と初期 費用、維持費を考慮すると完全にペイしないものでした。例によって、今井先生のブ…

「より良い医療」を受けるために

日本の医療の特徴は、国民皆保険、フリーアクセスと されています。「医療費が高かった」という声も聞き ますが、一方でかかった金額の7~9割は公費で賄われ ています。最近、情報提供書なしで総合病院を受診 すると窓口で一定額の負担を求められるようにな…

「どちらが、本人がより幸福か」という軸

胃瘻造設に当たり、多くの患者さんは自分の意思を表現 出来る状態にないため、家族が決断を迫られることが しばしばあります。「延命」か「実質的な患者の死」を 限られた時間の中で決断しなければならない苦悩は 計り知れないものがあります。また、少し異…

「身体拘束ゼロ」が生む悲劇

一昨日、Twitterで想いのほどを散々呟かせて頂いたのですが…。 私はもともと、「身体拘束を出来る限り減らす」は大賛成ですが 「ゼロ」という考えにはかなり抵抗があります。 そういった考えは過去にも、kotaro-kanwa.hateblo.jpまた、kotaro-kanwa.hateblo.…

終末期の輸液

本日は『いまいホームケアクリニック』さんのこちらの記事 から。imai-hcc.com書いてある内容は、私個人は全く賛成です。 ただ、少し自分の意見を加え、書かせて頂こうと思います。少しずつ衰弱された患者さんが、口から水分を摂れなく なった場合、多く余命…

施設訪問診療の終焉か

昨日、中医協から2018年度の診療報酬改定の個別項目が発表 されました。細かい点数配分はこれからですが、訪問診療は 大きな節目を迎えることになりそうです。個人的にはだいたい 要件を満たしていますので、今回は大きな影響はないと 思っていますが…。具体…

VSEDに対する私見

新城先生が書かれた、VSED (voluntary stopping eating and drinking) に関する記事が、Twitterで話題になっていました。headlines.yahoo.co.jpVSEDとは患者さんが自ら飲食を止めることによって死期を早める 行為を指します。上記の記事では、新城先生が10年…

曖昧に始まるセデーションは是か非か

今回は終末期鎮静についての、医療者向けの内容になります。 「セデーションって何?」という方には理解しにくい内容と なりますので御了承下さい。御承知の通り、終末期鎮静(特にcontinuous deep sedation、 以下CDS)はガイドラインでかなり慎重に選択す…

『身体拘束』を本当に減らすために必要なこと

2018年1月11日放送のクローズアップ現代で、『身体拘束』の特集 がありました。見逃してしまった方は、サイトで内容を閲覧する ことが出来ます。www.nhk.or.jp拘束の存在もあまり知らない一般の方々への問題提起という 意味では大変意義のある内容でしたが、…

平成30年診療報酬改定における『訪問診療』予測と私の考え

平成30年4月の診療報酬改定に向けて話し合いが行われて います。この中で訪問診療ではどのような変更がありそう でしょうか。まず、全体的な見通しですが前回までの、 特に施設(特医総管)の大幅な削減がたたり、在宅支援 診療所の数は緩やかに減少していま…

「すがる」こととその対象が生む悲劇

今日は前回の続きです。元になる記事は、ex.yahoo.co.jp科学的根拠に乏しい代替療法にすがった結果、たくさんの 金銭を失ってしまう患者さんがいます。場合によっては、 完治の可能性すらある方でも、残念ながらそのチャンスを 失ってしまうこともあります。…

「緩和ケアも治療です」

今日はこの記事に沿ってお話させて頂こうと思います。ex.yahoo.co.jpこの、背を向けた医師と右側から伸びるたくさんの手、 とても印象的な、象徴的なイラストですね。進行再発がんで化学療法を行っても、殆どの場合がんを完全に 治癒させることは出来ません…

顔の見える連携(関係)

在宅医療はクリニックだけでは成立しません。ケアマネージャー と訪問看護師、時に介護士やデイサービスとの情報交換も大切に なります。もちろん、病院とクリニックの連携も重要になります。 ですので、いかに良好な連携を組めるかが重要になり、 しばしば…

分子栄養学はオカルトか

以前もお書きしたように、自分自身に糖質制限を試し効果が あったので関連書籍やネットでの情報収集をするようになる と、あちこちで『分子栄養学』に出会うようになりました。 分子栄養学は『分子生物学』を土台とした栄養学で、その 土台の部分で糖質制限…

痛み治療の先にあるもの

永寿総合病院で病棟・在宅の緩和ケア治療で活躍されている 廣橋猛先生の書かれた記事を御紹介します。http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/hirohashi/201711/553443.html (前略) 切除不能な胃癌を患い、現在は化学療法中です。食べると胃が…

平穏死ー患者は本当に苦しんでいないのか

長尾和宏先生のブログにこんな記事がありました。blog.drnagao.com長尾先生は在宅医療の一線で活躍されている先生です。 たくさんの本を書かれ、あちこちで講演を行うなど 在宅医療普及に向けた活動も精力的に行っておられます。 胃瘻の本などはとても良く書…

『私の脳で起こったこと』

私の脳で起こったこと レビー小体型認知症からの復活作者: 樋口 直美出版社/メーカー: ブックマン社発売日: 2015/07/10メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (2件) を見る本の存在は知っており、以前から読みたいと思いながら 読んでいなか…